海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

業績評価の本かと思ったら、実践的なPDCAの本でした。|『最高の結果を出すKPIマネジメント』著:中尾隆一郎

年度末、年度初めはちょっと憂鬱です。自己評価・自己査定をしなければならないからです。

 

シンプルに言えばやったことを淡々と書くだけで難しくはない。でも、自分のやったことがいかにすごいことか、とか、とても秀でた事なのだ、とでも言わんばかりに装飾(表現)するのはあまり好きではありません。まあ逆に、自分が大したこともせず、大した人間でもないということを自己評価を通じて認知してしまうのが怖く、認知的不協和に陥るゆえに憂鬱になっているだけかもしれませんが。

 


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で、KPI。

 

私の拠点では、地域統括から業績評価されるモノサシとして拠点全体にKPIが示達されます。この出来によって拠点全体のボーナスプールが決定されます。ところがこのKPIというのが単なる拠点管理のための道具(共通フォーマット)に成り下がっており(ましてや拠点独自の成長なんて論外)、各拠点の特徴・特性などはあまり加味されないため「うちこんな施策やってないんすけど」てな項目が発生します。で、「この項目、うちは関係ないんで外してもらえませんか」「そっちの拠点だけのためにいちいち変えることなんて出来ないんです」という消耗戦を毎年繰り返ししていました。

 

ま、文句を言うのは簡単なのですが、「こんなの代わりにどうすか?」とカウンターオファーでもしないと付加価値がないと5年程たってようやく気付き(!)、本作を手に取って勉強してみた次第です。

 

評価指標を1つだけ決定し、PDCAを回す

結論:本作で謳われるKPIというのはどうも人口に膾炙するKPIとは違うと感じました。

私は本部や地域統括とケンカするために買ったのでしたが、そうした意味では使えませんでした。ただ、読んでためにはなりました。

 

ものの本を読むと、Mission Statement > Strategic Objectives > Critical Success Factor (CSF) > KPI (Key Performance Indicator) などと理念や方向性が具体化してきます。各社の理念を実現化するための指標として大抵KPIs と複数形で語られることが多いのですが、本作の主張ではKPIはたった一つ。なんなれば、幾つも指標があると方向性がぶれるとか。

 

で、筆者のKPIの設定の秀逸なところは、良く練ってKPIを、あくまで一つ、設定するということ。それを期間を限定して遂行、そして出来た時・出来なかった時の施策(人員を追加投入する、もう1クールそのまま繰りかえす、当KPIを変更し別のKPIを導入する等々)まで考えたうえで実行し、これをPDCAで回してゆくというものです。

 

私が勤務する旧態依然とした会社では難しいのですが、プロジェクトの中で採用したり、足の速いサービス業・飲食業などではうまく使えば爆発的に業務向上につながりそうだと感じました。

 

おわりに

ということで改めて申し上げると、本作は業績評価の本ではなくPDCAの本、というと伝わりやすいと思います。そこを見誤って購入しましたが、ただ内容は実に興味深く読めました。プロジェクトマネジャー、チームリーダなど有る程度の掌握権限のある方、あるいはそういう方をサポートする立場の方が読まれると参考になると感じました。

 

評価 ☆☆☆☆

2022/03/31

 

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