海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

静かに展開する「何か起きそう」感がイヤミスならでは |『豆の上で眠る』湊かなえ

こんにちは。

週末は義母がお泊りで居所に来ていました。遊びにくるというか、世話する人がいなくなるとスポットでうちが預かるという感じ。

80前で体は弱ってきていますが、別に介護というほどでもありません。

私は言葉が通じないからまあ楽なんでいいんです。ただ妻がちょっとしんどそう。いつも些細(?)なことを私に投げかる妻ですが、今度は彼女の母からマシンガンで色々話されていました。

私、基本的には知識欲旺盛で知りたがりなのですが、流石に広東語は手を出しませんでした(嫁のmother tongue)。分かったら分かったでウルサク感じるんだろうなあ笑。そうそう。おかげで読書が進んだと笑

 


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イヤミスかな

私のイメージですと、湊かなえさん、というとイヤミスです。映画化もされた『告白』、あれが非常に印象的でした。

 

そして、今回読んだ本作『豆の上で眠る』、こちらも同じイヤミス系の路線かと思います。

 

誘拐事件、その後に起こるのは・・・

帯を見れば大まかな筋は見当がつくかもしれません。ねえ、『お姉ちゃん、あなたは本物なの?』ときます。

主人公結衣子のお姉さん万佑子は二歳違いの仲良い姉妹。結衣子が小学校一年の夏休みのある日、姉の万佑子は忽然と消えてしまうのです。そして数年後、降ってわいたかのように戻ってくる。しかし結衣子からしたらどうしても姉本人とは思えない。そして結衣子が大学生として地元を離れ、夏休みに帰省して地元に戻ってくる。ああ、姉が消えたのもこんな夏の日だった、と過去を回想しつつ物語はスタートします。

 

物語の展開は、イヤミス的雰囲気に満たされているように感じます。

もう何か起きる、何か起きる、ってわかっている。予定調和的でもあるのですのが、その「何か」がどう起きるのか? むず痒さを楽しみながら読める作品です。

 

キチンと姉はいなくなり、キチンと姉は戻ってきて、そして妹の感じる違和感はほかの家族も感じており・・・。

 

最後の展開は、ふむ。いわく言い難いのですが、まあ読んでのお楽しみでしょうか笑

 

母娘のいびつ?な関係がここでも

もう一つ。

湊さんの作品といえば、つとに母―娘の関係の困難さ・ねじれを描写することが多いと言われます。本作でも結衣子の母春花の鬼気迫る様子が印象的です。

万佑子の失踪、そして警察が頼りにならない。そこで母本人が失踪場所や関連しそうなところに張り込む。幼児向けのお菓子などを購入する「あやしい」人を、娘の結衣子に調べさせる(「うちの猫がそちらのお宅に入っちゃったようなのですがいませんか」と聞かせる)。

一番近い家族である母親に嘘をつかれる気持ちはいかばかりかと思います。「猫があそこの家ににげちゃったのよ」と言って探させること。そして本当は「犯人」として怪しいから見てきてほしいこと。二重の嘘を重ねられ、子どももその嘘に感づいているのだから、悲しい話です。

あんな母親いるのかよって思いもしますが、ギリギリいてもおかしくない気もするんです。失った子を取り戻そうと必死になり、今いる子の気持ちを考えないって。

 

おわりに

ということで、イヤミス本家のエンタメ小説でした。

ミステリー好き、イヤミス好き、母娘関係のねじれた関係が気になる方、等々にはおすすめできるストーリーかと思います。

 

評価   ☆☆☆

2023/06/10

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