海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

奈良の史跡を辿るミステリー |『まひるの月を追いかけて』恩田陸

恩田さんの作品を最近結構読んでいます。

理由?それは、恩田氏って多作につき、ブック〇フで安いものが多いから笑。

かの店は、本の需給バランスによって値段が変わるので、ある意味分かりやすくてありがたいです。在庫が多ければ比較的新しいものも価格は下がるようですし、そうでないものは多少古くても『え?この作品が!?』というものも220円だったり350円だったりします(ごめんなさい、上記のお値段、私は『安い』とも言わず、最低価格のもののみ『安い』と私言っております)。

 

さてさて、もう少ししたら居所に戻りますが、そこから来年予定している手術の間までは色々考える時間にしたいなあと思います。それまで読書はエンタメ系で参ります。

ひとこと

恩田氏の作風が幅広いというのは何度か書かせていただいております。

で今回は言ってしまえばミステリー、でしょうか。いやあ、面白かったです。

 

本作、失踪した兄研吾を探しに、妹の静が兄の元カノと旅をするというところから始まります。その意味ではミステリーがベースとなっています。

 

転がるように明らかになるツイスト

小刻みに事実が明らかになり、その不穏さに読んでいてじわじわ・ゾクゾクしてきます。

兄の元カノが実は元カノではない、とか、実はその元カノは死んでいた、とか、兄と元カノともう一人の三角関係?であったとか。加えて、そもそも兄といっても異母兄だったりとか、複雑な家庭環境であることから、異母兄弟で恋愛かも!?という仄めかしも。

かような事実が兄を探す旅の最中に徐々に明らかになります。落ち着いた筆致のなかで、誇張もなく淡々とツイストが繰り出されます。冷静な展開に、これは実はモダンホラーなのかと勘違いするほどでした。

 

史跡を巡るロマン

さて、主人公静が兄探しをする相手は、結局は高校生時代からの兄の友人である妙子であることが分かりました。で、その場所たるや、奈良なのです。

橿原神宮藤原京跡など、由緒ある史跡にかつての歴史上の人々に思いを馳せながら歩く二人の様子は味があるものです。奈良をご存じの方はきっと楽しめることと思います。知らないでも雰囲気がありますが、知っていたらもっと楽しかっただろうなあと、読後に羨ましく思う。

 

いや、たしかに奈良は私も一度行ったことがありました。子どもたちが小さいころに数年程大阪に住んでおり、休日に奈良公園に出かけたのでした。鹿せんべいか何かを買い与え、子どもたちが手づからやると鹿に手をベロンと舐められたか何かで、子どもたちは驚きのあまりギャン泣き笑 ということで史跡のイメージがない笑

史跡をゆっくり歩くという旅もしてみたいですねえ。

 

おわりに

ということでまたもや恩田作品でした。

ふつふつと不穏な空気が漂うミステリーでした。ちなみに最後は驚きの結末でした。ややメロドラマチックな結末!?

 

恩田さんのファン以外にも、奈良好きの方、史跡好きのかたは旅のお供に読まれてみてはいかがでしょうか。

 

評価 ☆☆☆

2023/10/08

海外オヤジの読書ノート - にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村