以前購入した5冊セットのうちの一冊を読みました。
またまたインド亜大陸特別版。ちょっとなまめかしくて二度見してしまいました
これまで3冊のアガサ作品を読んで参りまして本冊が4冊目。ちょっと慣れてきたのか、あまり興奮もせず、普通に読み終わってしまいました。可もなく不可もなく。でもラスト30ページのどんでん返しは全く予想しておらず!その点では流石はアガサ、と呼べる作品でした。
あらすじ
とある鄙びた孤島のリゾートでのバカンスシーズン。人々は休暇を愉しむために島に集い、あるいは読書、あるいは海水浴に戯れる。平和な空気のなか、元舞台女優Mrs. Arlena Marshallと美形カップルの夫Patrick Redfernが逢瀬を重ねているとの不穏な噂が広がる。その矢先、当人Arlena Marshallの絞殺体が発見される。島のリゾートに逗留するのは、インド退役将校、若い美形カップル、壮年米国人実業家夫婦、牧師、女性デザイナー、家族旅行者など様々。全員が十分なアリバイを持つ中、居合わせたPoirotは事件をどう解決するのか。
浮気が病気だとしたら相手をかばえるか
本作は不倫がらみの殺人なのですが、ミステリーという性格上そのトリックや結論を語るのは野暮ったいので控えたく思います。
他方作品が投げかけた問いとして、浮気する(した)相手をどう受けとめるか、というものがあったと思います。どういうことか。一般的に浮気・不倫というのはよろしくないことですよね。日本の芸能人でも仕出かすとしこたま叩かれます。でも仮にその性的衝動が病気だとするとどうでしょうか。
かつて佐々木希さんはHuluのドラマ『雨が降ると君は優しい』の中でセックス依存症の妻を演じていました。性描写が激しく、思春期の子供たちが居る中で見るのは躊躇われてしまい途中で視聴をやめてしまいましたが、作中のご主人は奥さんをどう思われたのでしょうか。
本作は80年ほど前の作品であり、そんな病気は認知されていなかったであろうと思います。でも意思の強弱や倫理観の有無ではなく、その行為が一つの疾患として診断されたなら、あるいは本人がしたくないのに、体が反応してしまうとしたら、どう判断すべきか。本作の登場人物の在り方(ある種治らないものとして受け入れる方向)は一つの回答なのですが、その態度に尊敬と疑問の入り混じった気持ちになりました。
英語
さて英語ですが、上達の兆しが見えず分からん単語がそこかしこにありました。まあスリラーなので筋が分かれば細かい所は分からずとも楽しめますけどね。なお、本作を読んでいて覚えたいと思ったのは以下の単語たち。Philanderer 女たらし、やり〇ん、strangle 絞殺する、bear out 証明する、intestate(j) 遺書を残さない(状態)、arsenic ヒ素、acumen 洞察力、才覚、batty イカれた、loose end やり残し、未解決部分、brass tacks 核心、本質、draw a blank 失敗に終わる、何も得られない
おわりに
私の本作に対する感想は可もなく不可もなく。最後の1割は面白かったのですが、逆に言うと、残りの9割程度はツイストもなくやや単調に感じられたのでした。他の方はどう感じるのか気になり、いくつかアガサ・ランキングを覗いてみると軒並みベスト20くらいには入っていませんでした。
でも英語サイトを見てみると意外と人気が高いようでした。
皆さんはどう感じられたでしょうか。
評価 ☆☆☆
2022/01/30
以下、これまで読んでみたアガサ作品です。おすすめできる作品群です。