海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

相変わらず面白い。洒脱で微熱的おかしみ with死神 |『死神の精度』伊坂幸太郎

皆さんこんにちは。

いやあ、この前結婚式に出たと思ったら、コロナにかかりました。一年ぶり二度目。

ワクチンはチャイナ2本と米系1本の3本も打ったんだけどね。そのせいかそこまで辛くもなし。

 

ちなみに30歳そこそこの駐在君はあっという間に2回かかってたなあ。しかも彼、ワクチン5本も打っていた!チャイナ2本、英系1本、そして日本で米系2本の合計5回。今年の2月くらいに既に2回目かかっていたので、所謂免疫もそろそろ切れるかも。とすると、近々予定されている日系企業のクリパ辺りでコロナ3回目をゲットしてしまうのではと、不謹慎ながらちょっと期待していたり。

かからないように頑張ってほしいです。

ひとこと

実は本作は読書二回目でした。

でもあまり記憶になく、読みながら、あっこれ読んだことなる、となったものです。

ということは、まあ、伊坂作品のなかでは普通に該当するかもしれません。でもあくまで伊坂作品の中で、ですよ! ビートルズの楽曲の中では普通、といったら、少し伝わりやすいでしょうか。まあやっぱり全体的にはすごい方が書いたすごいよりややトーンの下がる作品?分かりづらいって?ごめんなさい。

 

概要・構成

死神がこの世に下りてきて、人々の生死の判断(主に死についてゴーサインをだす)の調査をするという、伊坂作品らしい突飛かつユーモラスな設定。死神の世界も官僚的だったりサイロだったりするあたり(情報は聞かないと教えてくれない、とか)は社会生活の不条理を味わった大人にはクスリと笑みをもたらします。

 

そんな作品ですが5つの短編集といった風合い。

・死神の精度

・死神と藤田

・吹雪に死神

・恋愛で死神

・旅路を死神

・死神対老女

の6つ。

 

幾つか特徴を

表題作『死神の精度』は、オタク系女子の生死判断。ネクラでクレーマーに好かれ始めているという流れなのだが、その顛末が伊坂作品らしい。死神が無類の音楽好きという性質はやや狙いすぎか。タワレコとかの視聴コーナに長居していればそれは死神って、最近でもまだあるのかしら。

 

『死神と藤田』は、滅びゆく任侠世界のヤクザたちの散り際の儚さを描くもの。真っすぐすぎて仲間からも煙たがれるというのは良くありますよね。ヤクザの場合、それは死に至ります。

 

『吹雪に死神』は、アガサ・クリスティの『マウス・トラップ』ばりの密室殺人事件。もちろん死神にはおおよその死の原因が分かっており、「同僚」がちらほら見え隠れることも。

 

『恋愛で死神』は、イケメンが敢えてダサメンに扮しているなか、とある女性に恋しちゃうという、キュン系な話。イケメンと死神とのやり取りが面白い。

 

『旅路を死神』は、なんとも伊坂作品らしいキャラ設定。母親に傷を負わせ、若者を殺した男が、リーマンに扮した死神の車をジャックし、奥入瀬に向かう。若者の若気の至りが実は誤解によるものだと本人が徐々に分かる塩梅がいい。言葉の端々から本人は根っからの悪い奴じゃないってことが分かるのね。

 

最後の『死神対老女』は何と死神の雰囲気を嗅ぎ付ける老美容師の話。伊坂氏らしいといえば、別の作品とのリンケージでして、本作の別の短編でこの老美容師は登場しています。もう一つ、確か第一話で『見送り』になったネクラ女子はこの短編で再登場するのだと思います。この代わり映えもまた楽しい。

 

おわりに

ということで、伊坂氏の短編集でした。

相変わらず洒脱な会話が冴えわたる作品でありました。ツイストが効いているという風ではなく、むしろ微熱的面白味が通底する作品であったと思います。

 

評価 ☆☆☆

2023/11/04

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