皆さんこんにちは。
うちの会社、始業は8:45なのですが、週3ある出社日はいつも7:00くらいに出社します。朝早く何やっているのかというと、昨年末に読んだ『メモの魔力』を片手に1000本ノックならぬ1000問自己分析をしています。
50前のおっさんが今更?な感じですね。でも、セカンドライフというか、これから会社で必要とされなくなることを見越して、第二の人生用に改めての振り返りです。
やっと100問近くに迫ってきましたが、なかなか面白いです。自分がこんな感情持っていたのか、とか、結局俺の引っかかりは「承認欲求」なのかとか、自分の事なのになるほどー、とか頷いちゃったりします。
あ、オチはないんです。すみません。ただ言いたいだけ(大阪在住時の友達には「なんやオチないんかい!」ってよく怒られました)。
本日は、この前疲れたときに一気読みした伊坂作品です。
ひとこと
一風変わった伊坂作品。新境地、といっても過言ではないかもしれません。
構成
先ず構成は三部構成になっているのですが、第一部『PK』、第二部『超人』、第三部『密使』とあり、それぞれ別個の世界として構成されています。
第一部は、その名の通り、ワールドカップ出場をかけた日本の代表戦でのPK時のちょっとした選手の会話がテーマ。当時の会話がどうしても気になる某議員とその周辺の話。
第二部は、将来の悪事を察知出来て、その悪事が起こる前に『処理』してきた本田青年の話。なお一部で出てくる議員は、議員一年生の時にこの本田青年がマンションから落下するところを助けたという連関があります。
第三部は、握手をするとその相手から6秒時間を盗める『僕』と、世界の平和のためにひょっとしたら犠牲になるかもしれない『私』の独白の応酬。
伊坂的時間マジック
伊坂作品の特徴として、時間の設定が明示されておらず、読中はもやもやするも、次第にこの繋がりが分かってくるという事があります。
例えば『アヒルと鴨のコインロッカー』でもそうでしたが、複数のストーリーが並行していると思ったら、実は過去と現在の話が交互に語られていた、みたいな。
本作でもそのような重層的構成を味わう楽しさがあります。詳細は是非読んで味わっていただきたく笑
一部、二部、三部のクロスオーバーは、読んでいる最中に徐々に分かってくると思います。
イヤミス的余韻が美しい
また、痛快だけに留まらない「余韻」「余白」も楽しむことができると思います。
これは『魔王』や『モダンタイムス』などで顕著ですが、不穏な雰囲気、その雰囲気に吞まれゆく世間、そして決してハッピーエンドとは言いかねる陰鬱さ。ある意味イヤミスというか、晴れ晴れとしない結末。一種不完全さやいびつさに美を見出すような気持ちかもしれません。
あれ?東京が舞台?
あと、一つ驚きましたが、今回は仙台が舞台ではありません。
何と三軒茶屋とか二子玉川とか東京の街が登場します。ちなみに30年前、高校生の時、二子玉川のマックでバイトしていました!まあ、どっちでもいいですね。
おわりに
ということで、新年に読んでもやっぱり面白い伊坂作品でありました。
初期のエンタメ路線から比べると、徐々に苦味のエッセンスを感じる作品に変化しつつある気がします。それでもやはり面白い。今年も伊坂作品を読んでまいります。
評価 ☆☆☆
2024/01/13