海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

京都と失恋と仲間+伝奇。色褪せない青春の爽やかさ。 |『鴨川ホルモー』万城目学

最近、死ぬことを意識してかしてないのか、ブログの記述に『昔は』『学生時代は』などの表現がおおいな、と感じます(調べていないけど)。さらには学生モノ・青春モノをふと読んでしまっています。

したらほら、今度は万城目ちゃん読んじゃった。この前は森見ちゃんだったし(年、近いから・・・笑)

 

いやマジでこれ無意識。来年春の脳動脈のバイパス手術まで走馬灯ロングバージョンでもやるつもりなんすかねえ、我ながら。

 

まだ一応40代なんだから今を生きろよオッサン、って自分を少し叱りたくなりました。隣の年下の課長は40から2人子供こさえたしね。あれくらいの懸命さで生きないとねえ。無理だけど。

 

 

はじめに

以前、万城目学さんの奈良を舞台にした本を読んだことがありました。

いやあ、ちょっと順番失敗したかもです。『なんか変な作家さんだな(失礼!)』とか思って以来、彼の作品は手に取らず。

今般たまたま手に取って読んだら、面白いじゃないですか!! 他の作品も改めて読んでみようと思います。

 

ひとこと

青春小説、伝奇モノ、京都が舞台。

端的に挙げればこの三語に尽きようかという本書でありますが、もちろん尽くせないすばらしさの詰まった作品であったと思います。

 

青春小説として

題名の通り、ホルモーという珍妙な(でも由緒ある)ゲームを四つの大学(京大、京産大龍谷大、立命館大)で戦うというお話。

主人公は京大一回生の安部。同じサークル仲間の早良さんへ壮大に二年間も片思いし、しかも自己の思いに何のかのと難しい説明と表現をつけて何もしなかった自意識感は、森見登美彦氏の『夜は短し歩けよ乙女』『四畳半神話体系』に似ているかもしれません。というか、あのひねくれは若者の特権とでも言いたくなってきた。むしろあれでよい、あれが良いのかもしれない笑。

その後、安倍くん、己の身勝手さをホルモー試合前に気づき、んでもって「凡ちゃん」といい感じになっちゃうのも、自己陶冶小説・青春小説的にはナイスな展開でありました。

 

加えて言えば、高村がその後どうなるのかとか、凡ちゃんとの仲が今後どう進展するのか、スガ氏の将来とか、脇役含めた登場人物のその後展開が気になりつつ、後ろ髪惹かれるようにエンディングを迎えるのがニクいなあと思いました。

 

伝奇小説と、舞台としての京都

また、このホルモーという戦いが、日本の文化を長く育んできた京都で展開されるというのが日本人の潜在意識をぐりぐりやられる気がします。

もう端的に言ってしまえば、京都への憧れを刺激されるのです!! 魑魅魍魎、鵺、陰陽、こういう世界ですよ。

吉田神社でお参りし、三回生から一回生へ代替わりをするのを神様が見届けるだって? すると鬼や式神が見えるようになるとか? こういうお話がまことしやかに語られても何の違和感もなさそうなのが京都、じゃありませんか?

私は仕事で大阪から四条烏丸河原町を行くくらいの道路を見知っただけで、あとは観光くらいしか分かりません。でも本作では鴨川デルタであったり、百万遍であったり、良く分からんけどまあ京都の地名が出てくるわけです。

日常の生活の陰に、異次元の何かが何食わぬ顔で潜んでいる、なんて想像もしてしまいます。まあ、そういう憧れを刺激されます。

 

あ、オチはないですが、高2の時に京大模試というのを受けて6点(偏差値は38くらい?)とって、やっぱり私大文系だと決めた記憶があります(30年前の話。言いたいだけ)。

 

おわりに

ということで忘れていたくらい久しぶりな万城目氏の作品でした。

次に京都に行く際は、事前にこの作品と森見氏の作品を読んだうえで観光に行ってみたいものです。

 

まあそれとは関係なく、青春小説が読みたい方にはお勧め。読後の爽やかさが素晴らしいですよ。

 

評価 ☆☆☆☆

2023/11/11

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