イタリアで一番?印象に残ったピサの斜塔。
皆さん、こんにちは。
とうとう短い旅行も終わりに近づきつつあります。これまでヨーロッパはフランスと今回のイタリア、二つしか行ったことがありません。で、もし、住めるとしたら、と考えると、やはりイタリアかな、と感じました。
人がいい、というか、付き合いやすいように感じました。
もちろん、副流煙半端ないとか、たばこが常に臭いとか、ありましたが。
ひとこと
初めて唯川さんの作品を読みました。
どういうアルゴリズムかは分かりませんが、アマゾンのKindle Unlimitedでおすすめ?に入っており、何となく読んでみようかと手に取った作品。
恋愛小説系の作家さんかと思って敬遠してきたのですが、どうしてどうして、なかなかにドラマティックな展開に男性でも楽しむことができました。結論としてはなかなか面白かったです。
あらすじ
ざっくり言ってしまえば、総合職のお局様、短大卒の一般職、それともう一人の若さだけが売りの女性たち。彼女らが一人のエリート社員をめぐって恋のさや当てをするというのが大筋の流れ。
ただし、最後にちょっとしたどんでん返しが起こるというものです。
言いたくないけど時代設定の古さ
私は昭和生まれなので、ある意味「すんなり」と読めてしまいますが、それでも感じるのが「時代」でしょうか。本作、1993年発表のもの。
Kindle版で、巻末に作品発表時のままの表現にしてある云々と但し書きがありましたが、改めて思い返して、確かに、となりました。
まず総合職と一般職という採用方法が今の社会に残っているのかどうか、と。
隣で寝っ転がってYoutubeを見ている今春大学生になる息子に聞いてみました。・・・彼すら知っていました。すみません。まだ概念としては結構残っているようです。
まあ、その括りは置いておくとして。次。
女性が恋愛に生きる、というのはやはり時代なのかなあ、と感じました。
今でも当然のことながら恋愛→結婚という、いわば人生の「定食」みたいなルートはありますね。ただ、シングル、おひとり様、フリーランス、子なしetcと、もう多様な生き方が徐々に浸透してきていると思います。
独りの男をめぐって熾烈な争いが起きるという筋に「本当かあー?」と思ってしまいました。もちろん、そんなモテた経験がないためよく分からないというのはありますが。
鋭い心象描写はさすが
他方、端々に描写される登場人物の心象は、個人的に「分かる」と膝を叩く箇所もいくつか。
例えば千絵の結婚を日常の鬱憤の出口として捉えているシーン。
「結婚さえすれば、今、自分が抱えている不満も不安もすべてが解決されるような気がする。主婦業や子育てだって、考え方によってはものすごくやりがいの持てる仕事ではないか。昔は、結婚ばかり口にするような女性を軽蔑していたこともあった。けれでも今は、安定した生活に憧れている(位置103/2581)」
私は「結婚」を「転職」に、「主婦業」を「証券業」に、「子育て」を「どぶ板営業」に、「安定した」を「新しい」に読み替えて読みました。
ほかにも千絵による心象で、ひも彼氏でも家に寄り付かないと食事作りが雑になるとか。また瑞子が当初は優しい先輩たろうとしたものの、次第に心を頑なにし、ベテランのシニシズムに陥った独白とか。
窓際のオトメオヤジ?の私には、妙に「分かる」箇所が多くて、逆に戸惑いました。やはり昭和世代特有なのかもしれません。
おわりに
ということで初めて唯川氏の作品を読みました。
確かに時代は感じるものの、私は失った若さを感傷的に思い出しました。その点では何となく、ほっこりと気分になりました。
評価 ☆☆☆
2024/02/05