海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

米国陰謀論を原書でよんで死んだ話―『The FEDERAL RESERVE CONSPIRACY』著:EUSTACE MULLINS

陰謀論は好きです。ただ、わざわざ原書で読む必要もなかったな、と読後に後の祭り的後悔。いや、大変疲れました笑。

 


f:id:gokutubushi55:20210714225651j:image

 

内容はFRBの設立とその仕組みについてなので、金融知識についても相応の知識が求められるものでした。英語も難しかったです。

 

章立てはすべて人名なのですが、20世紀初頭から半ばまでの米国史の中心人物が揃い踏みです。

 

NELSON ALDRICH (上院議員)
SENETOR ALDRICH
SAMUEL UNTERMYER (弁護士)
WOODROW WILSON (第28代アメリカ合衆国大統領)
CARTER GLASS (政治家。ウイルソン政権で財務長官)
PAUL WARBURG (クーン・ローブ商会パートナー。ユダヤ人)
MORE PAUL WARBURG
BERNARD BARUCH (投資家。ユダヤ人)
ALBERT STRAUSS (セリグマン商会パートナー。FRB副理事)
MORE PAUL WARBURG
ANDREW MELLON (実業家・銀行家。元財務長官)
HERVERT HOOVER (第31代アメリカ合衆国大統領)
FRANKLIN D. ROOSEVELT (第32代アメリカ合衆国大統領)
MARRINER ECCLES (FRB議長)
HERBERT LEHMAN (政治家、リーマンブラザース・パートナー)


内容

よく分からんなりに読解できたのは、概ね以下の2点。

 

  1. FRBの株主は政府ではなく一般銀行。従い、FRBは銀行家のための銀行に過ぎない。
  2. つまりFRBは国民の為ではなく、そのために金融市場を安定させない働きをしている(敢えてボラティリティをつける)。

 

FRBの株主が政府ではないという話はよく耳にします。試しに一応、FRBのサイトを見たのですが、FRBは誰のものでもない、とありました(”The Federal Reserve System is not "owned" by anyone.”)。結局のとこ、どうだかわかりません。。。。Financial Statement(決算書)とかないのかしら?

www.federalreserve.gov

 

FRBが寧ろ金融市場を不安定にしている、というのはよくわかりません。リーマンショックが起きたときは、グリーンスパン金利引き締めを怠ったなんて話もありましたが。

 

FEBが設立されたのが1914年ですが、本作ではWW1での戦時ファイナンスFRBが仕掛けた(必要のない戦争に巻き込んだというのが筆者の主張)とかあります。いわゆる大恐慌FRBの仕業とされています。こうしたことは米国経済史や大恐慌、それから金本位制の仕組み、ひいてはその後のブレトンウッズ体制についても少し勉強しないと判断がつきません。

 

でも、仮にFRBが私企業・銀行家の手にあるとしてもおかしい話ではないとは思います。政治の世界もロビー活動というのもありますし、お金を持っている人はお金で人を動かそうとしますし、お金がないと生きられないのは政治家とて同じなのですから(当選しなければただの人)、そこに癒着は発生しうるわけです。

 

ちなみに、幻冬舎のページで金井規雄氏と言う方が本作と殆ど同じことを述べていらっしゃいました。私は本作は3週間かけて読みましたが、時間無駄にしたかも笑

gentosha-go.com

 

おわりに

陰謀論というと大袈裟ですが、金融業界が政府内に治外法権を作ろうとしている、と主張する、どちらかと言うと汚職暴露的な雰囲気でした。1954年の作品でしてちょっと古いのですが、ここから筆者はユダヤ陰謀論へ深く傾注していく感じです。それらと比べると普通に社会派な本でした。

 

あと、冒頭のところでFRB設立のために銀行家たちがお忍びでジキル島に秘密裏に打ち合わせを開いたってシーンがあります。Hotels.comだかagodaだかで調べたら宿がありました!機会があったら行ってみたいなあ。

 

評価 ☆☆☆

2021/07/11

 

 

筆者渾身の陰謀論は以下。どうにもコメントしづらい作品。

陰謀論色濃すぎて。。。-『カナンの呪い 寄生虫ユダヤ3000年の悪魔学』 - 海外オヤジの読書ノート

海外オヤジの読書ノート - にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村