アホ高校生の息子のために、今年はこれまで勉強法の本を5,6冊ほど読んできました。テクニック集や体験談、人生論的なものなど、参考になるものは多かったです。
ただ、サラリーマン的な仕事術の観点でいうと、私はこの本が一番だと感じました(こどものために読んだんですがねえ)。
勉強の意義を問うことの大切さ
そのポイントといえば、第0章と第1章で合計80頁を費やした、勉強の意義とモチベーションについて、だと思います。最終的には「やる気が出るんだったら目的なんて何でもいい」というスタンスのようですが、筆者の場合は自らの「幸福の最大化」という観点を意識しつつ、「将来の選択肢が増える」という外発的要因と「ゲーム的に解く面白さ(できるループ)」という内発的要因を、自分なりに工夫してモチベーション維持につなげているように感じました。これが腹落ちしていないと、いつか息切れする・続かないのを見切ったうえでの目標設定です。
当たり前ですが、社会人の仕事にも、その一つ一つのアサインメントには意味があるわけで、その意味が分からないまま走り出すと、大抵途中で意義(何のため?誰のため?)を再度確認することになります。このような意義がキチンと語れない上司や先輩から、ふんわり仕事を受けてしまうと、本当に時間・人生の浪費をしかねません。
勉強も同じです。他人から振られる仕事ではありませんが、自らやる意義を確認し、やる気を維持する努力が必要とされます。さもないと、ダレたときに「あーこんなん意味あるのかな」「何のために俺勉強しているんだろ」となるわけですね。ゆえに取り組む前にしっかりと意義を問うということは大切。
普通の若者(というか昔の自分)なら「走ってみれば何かわかるだろ」という見切り発車は多いと思います。でも効率を考えれば、その前に考えることは重要です。
テクニックも効率重視
テクニックについては、社会人的には王道ですが(そしてなかなかできないのですが)、ケツから考えるスケジューリングが挙げられていました。締め切りや期限から考えてそれまでに何をどれだけやるか、というものです。
また、不要な勉強を省くためにも積極的に合格者や先輩の話を聞く、ストレスを感じたら寝る(なお、私が読んだ東大生の勉強本はすべて十分な睡眠がテクニックにありました!!)、アウトプットとインプットのバランスと記憶、各教科の学ぶ意味合いとメリットおよびお勧め学習書、等々が載っていました。これらは、とにかくどうやれば物事を効率的にこなせるか、という観点で書かれています。
気に入ったところからつまみ食い的に使うこともできると思います。
おわりに
いやあ、理性的で完璧な本だったと思います。完璧すぎて可愛くない笑!! この筆者は、走り出す前に十分全体像を俯瞰し、走る間も自らの姿を鳥瞰しつつアジャストするというスタイルです(ゆえに効率的で無駄がない)。スケジューリングやPDCAといった社会人のお作法的な話が、勉強を題材に語られるという本だったと思います。
従いまして、社会人の勉強・資格取得にも大いに役に立つと思います。もちろん中高生がマネしても有効だと思います。
目標・目的の明確化、その目標・目的に向けたしっかりしたスケジューリング、というこの二点に関して特に優れた勉強本だと思います。大人になってからも必須の技術が学べます。
評価 ☆☆☆☆
2022/09/11