皆さんこんにちは。居所に戻りました。
50手前にして部下なるものを持ちました。
ところがこれがまた、思うように動いてもらえません。ほぼ未経験ながら人柄を見込んで知り合いを採用してもらったのですが・・・。
一番困るのが、「AとBの数字が合いません」とか「うまくいきません」とかその手の会話。内容は100%理解していなくても仕方ないし、ミスも全然問題ないのです。想定内。ただ、「じゃあどうして数字が合わないのかね?」「何がうまくいかない原因だと思う?」という問いへの答えも用意したうえで会話して欲しいんですよねえ。高望みかしら。結局そういう会話をして、相手が困って黙ってしまうのですが。
実は私はそれ以下のへぼでした。ミスばっか。自分で作業したのに自分で何をやったかわからない。結局聞く。その都度メンターから「あなた時間泥棒ですよ。罪深いと思いません?」などとディスられて!?いました。
ということでついついイライラしてしまうのはよろしくない、と、アマゾンで部下の育て方的な本を数冊ぽちりました。早く届くといいなあ。
はじめに
娘が中学生だった時に教科書で見知った稲垣先生の著作。
植物が専門ですが、これを世界史と絡ませたオッサン好みの仕上がり。ライトな蘊蓄好きにはたまらないでしょう。
食物(植物)の由来と世界史
タイトルにもある通り、本作は主に食物(植物)を取り扱います。
やや劇的なタイトルではありますが、確かに歴史にインパクトのあった食物がフィーチャーされています。
列記しますと、コムギ、イネ、コショウ、トウガラシ、ジャガイモ、トマト、ワタ、チャ、サトウキビ、ダイズ、タマネギ、チューリップ、トウモロコシ、サクラ、となります。
当然の事ながら圧倒的な植物についての知識量
何が良いかというと、やはり稲垣先生の徹底的な植物好き、植物に関する深く広い知識が面白くてよいですね。
植物の生態だったり形状だったり進化の理由とかを説明しちゃう。そしてそれがまた非常に合理なのでついつい「へぇー」となる、という感じです。
例えば、イネ科の植物について。イネ科の葉は全般に繊維質が多く、消化しづらいそうですが、これは葉っぱを食べられにくくするためだそう。また成長点が地面スレスレにあり、それより上の茎が動物に食べられても成長点から再び生えてくることが出来るそうな。
って、世界史とは関係ないのですが、こういう「ちなみに、」的な話の方が印象深かったりします笑
こうした実った種は、単なる食糧であるに留まらず、将来の収穫を約束してくれる財産、分配可能な余剰、富ともいえるとし、貨幣経済の黎明とも連結していることをほのめかしていらっしゃいます。これまた「大きな」はなしなのですが私はこういうのが好き。
それから、農業についての逆説的な説明も面白かったですね。
農業は重労働で、食物が豊かなところでは行われないという話。例えば稲作は弥生時代に九州に伝わり、東海地方まで瞬く間に広がったとされますが、東北地方にはあまり広まらなかったそう。これは稲垣先生がいうには「縄文時代の東日本は稲作をしなくても良いほどゆたかだったから」(P.35)とのこと。
東日本では西日本の10倍の人口密度があり、それを賄える豊かな食物が自然の中で手に入れられたとのこと。確かに東北や北海道に多くの縄文時代の遺跡がある話を思い出しました。
なお上記イネについての話が印象に強かったのですが、それ以外にもピーマンとかトウモロコシの話も面白かったですね。
おわりに
ということで稲垣先生の著作でした。
途中、あっという間に終わってしまう章もあり、何だか編集者に乗せられて書いたのか?みたいな素人の勘繰りをしてしまう所もありますが、植物についてはどれも詳しく、面白かったです。
故に、広く浅くで読むのには丁度よい書籍かと思います。
逆にもっと深堀りして歴史の移り変わりを知りたいかたは、よくある「〇〇の歴史」「○○の世界史」みたいな本を購入されたらよかろうと思います。
食べ物好き、うんちく好きにはお勧めできる一冊。
評価 ☆☆☆☆
2023/12/17