皆さん、こんにちは。
先日からやるやる言っていた今年の振り返りですが、お見せできそうにありません。このままいきますと、有限不実行という最もだらしのない結末に。我ながら忸怩たる思いであります。
振り返るには振り返りました。ただ、もう量が膨大になり、見直しと編集が必要。これをヨソサマにお見せするには更に相当の時間がかかる、新年まで間に合わないと判断しました(新年までに自分の振り返りを終わらせ、来年の課題を設定したいので)。
時間があるとか言ってなぜ出来なかったかというと、先日読み終わった「メモの魔力」で自己分析を進めていたからです。いやあねぇ、これがまた1日3、4時間かけても全然進まないのです。そして面白い。
強制走馬灯かのようにメモを書きながら幼少期から新婚期、子供が生まれて移住するとか、いろんなことを思い出しました。なんだか本当に自分がひどい奴で、精神的にも成長なくって、悲しくなって涙目になりっぱなしでした。
(それを認知できるのはショックである一方、今更に目から鱗なのですが)。
また、部屋の整理の途中、貴重品箱をほじくり返していたら、12年前の未来図・夢の設計図みたいなのが出てきました。これもついでにお話させてください。
当時36歳。37歳でこれこれ、38歳で年収幾ら、とあり、45歳までイケイケで成功していく足取りの予定が書いてありました。
なんと、一つも時間通りに成就しておりませんでした!
恐ろしい。この12年、何をしていたのでしょう。振り返らない目標が意味をなさないという反面教師であります。
さて、本題の本の方です。本日はキリスト教と美術に関する本であります。すごい本でした。
概要
本作、聖書の解説ですが、なぜだかナゴヤ弁で展開します。また、筆者独自の「行間の読み」がすごい。聖書の理解!?が進みます。お下品すぎて吹きます笑
行間の埋め方がえげつない!?
宗教の聖典を読んでいてどのように対峙すればよいか戸惑ってしまうこと。奇跡であったり、進行が突飛であったり。このあたりの解釈が、本作は良い意味で下品かつ印象的であります。
例えば、旧約でアブラハムが一族とエジプトへ渡る際、ファラオに「妻」のサラを「妹」と説明したというくだり。
氏の読みでは、アブラハムは一族の長、財産持ちであり、羊も多く持っていたはず。それを差し出すのは言わずもがな、付け加えて古女房を妹と偽ってファラオの人心御供にしたという。つまり、安全確保。確かに、女を差し出しても「妻です」なんて言ったら受け取ってくれないわな。
ただし、スタート地点のハラン(トルコ・シリア国境付近)を出立したとき、アブラハム75歳、サラ65歳。氏の推察だと、ある程度年齢を割り引いたとしても、使い古しを押し付けられて、ファラオは怒り心頭、アブラハムを追放したとのこと。私がファラオでも切れます。
聖母伝説にも触れています。
イエスの母はマリアですが、マリアの父母がアンナとヨアキムと言います。実はこのヨアキムが「たねなし」(本文まま)であった。お金はあったそうだが、神殿に供物を二倍お供えしようと試みるも断られたという。なんでも、掟では、イスラエルに子孫を残さないものの供物は拒絶されるそう。打ちひしがれたヨアキムは荒野を彷徨い40日間の断食に入る。そしてこの間にアンナは孕んだ。筆者は当然のことながら「疑おうと思えばいくらでも疑えるが」と、どうにもそちら側を教唆?しているようにも思えます笑
とまあ、このような調子。我ながら、恥ずかしいのですが、下衆な展開は覚えちゃうんですよね。
これ以外にも、なんというか、不可解・不可思議な点は、下ネタ的観点から現実的に読み解くというスタンスであります。印象が強く残ります。
そういえば絵画の解説でした
題名にもありますが、絵画の説明。
こちらも面白いです。頭に残っちゃいます。
一例として、ウフィツィ美術館に収蔵されている「イエスの洗礼」の解説。
もともと洗礼(Baptisma)はギリシア語の「水に浸す」という意味からきているそうですが、イエスが受けた洗礼はヨルダン川に蹴落とされて溺死寸前になったところを引き上げる、非常にきついものだったとか(文字通り「生まれ変わる」)。
筆者のご母堂も洗礼を受けたときは本栖湖に白装束で全身を沈められたとか。なんていうエピソードを読みつつ絵を見ると、絵のことは記憶に残りますね。ある意味世界史の美術史部分大作になるかしら。
これ以外にも新旧聖書をモチーフにした作品としてプラド美術館収蔵、ウフィツィ美術館収蔵の解説が本作多数掲載されています。もしかの地かの美術館にいかれる方がいらっしゃるならば事前に読まれると一層旅行が楽しいものになる可能性があります。
聖人解説がよい
もうひとつ。
本作巻末に僅かですが(二段組で50ページ強)、主要な聖人の名前、由来や背景、起こした奇跡、誰の守護聖人か、そして絵画に書き込まれるときの特徴、などが解説されます。
欧州に旅行されるとき、聖人をモチーフにした絵画が沢山あると思います。日本人にはキリスト教はなおのこと、聖人は更に縁遠いと思料します。ここを読んでおけば(あるいは持参して辞書がわりにすれば)どういう聖人なのか確認して絵画を楽しむこともできましょう。
なお、聖人っていうの、政治的にバチカンのお偉いが認定した、サーティファイドお偉いさん、です。
何しろ新旧に出てきませんし、いまいち外道にはピンときませんよね。
おわりに
ということで中丸氏の枠にはまらない聖書解説、聖書絵画解説でした。
他の作品を読んでどうも良く分からない、でも分かりたいという方にはお勧め。常識を覆す(ある意味非常識!?)な聖書解説であると思います。
聖書に興味のある方はもちろん、美術史に興味のある方は読んでおいて損はない作品だと思います。
評価 ☆☆☆☆
2023/12/29