海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

ダメンズ選手権入賞はカタいか!? |『僕のなかの壊れていない部分』白石一文

皆さんこんにちは。

新年あけてはや一週間ですが、二日から仕事をしていますと普通に正月気分ではありません。むしろここ東南アジアの端くれでは、来月やってくる旧正月にむけてスーパーではミカンの販売が多くなり、街はオレンジ・赤の雰囲気が強くなります。

 

こちらの家族は当然旧正月のお祝いをしますが、私は広東語が喋れないため、結局中途半端に参加するのみ、というのが例年の状況。

嫁に連れられて親戚の家へ挨拶周りをしますが、私は本を数冊持っていき、会(会話?)が終わるのをひたすら読書して待つみたいな展開ですね。子どもかよって扱いですが笑

まあこうやって顔を見せるという習慣も悪くありません。家族内でのエンゲージメント強化、とでもいったところでしょうか笑

 

 

ざっくり

15年ぶりくらいの再読。

本作、何といえばいいか。そう、ダメンズの『僕』こと、松原直人の独壇場とでも申し上げておきましょう。

 

ダメンズ?直人の独壇場がここに

この御仁、とにかく性格が良くない。

素直じゃないというか、ああいえばこういう。しかもその辛辣さは仲のよい彼女とかに対して一層高まる。読んでいてもこちらがムッと来る。文学系ウンチクを繙き上から目線で『お前知らないだろうけど』という風にディスるのも超一流。

海外旅行に行くのってそんなに意味あるの?とか、趣味へのディスりもヤバ目。他人の趣味にそこまで言うか?的な。

 

更に、それほど性格が良くないのに、結構モてる。

作中でも、そこらのモデルよりも美しいといわれる枝里子と付き合い、シングルマザーの朋美といい中になり、30過ぎでご無沙汰となっている大西夫人と褥を共にする。

でもって、これまた性豪かというくらいガンガン。どこで覚えたんだよ。

 

極めつけは、これでいて某T大卒業、三十前後で1000万プレーヤーとのこと。容姿については書かれていませんが、どんだけうまくいっているんだ?って感じ。

 

でもやっぱり性格が悪くて結局は一人に戻ってゆくと。

後半に向けて、貧しい家に生まれ、片親に育てられるも捨てられた経験があり、それがトラウマになっていることが仄めかされます。とはいえ、他人はどこまで斟酌するべきか。

 

私的には、枝里子の父親が枝里子に言ったように、あれはおかしいと思います。ない。娘を持つ親となった今、一層そう感じます。

 

表紙の帯に絶賛云々とありましたが、個人的にはそこまでかという印象でした。

 

おわりに

ということで久方ぶりの白石作品の再読でした。

村上春樹氏の作品でも度々でてくる『僕』も、独自な感性と洒脱な言葉遣いで相当我が道を行きますが、今回の『僕』こと直人くんは結構強烈だったと思います。

 

題名の壊れていない部分がどこだったのか分かりませんが、大分壊れちゃっている気がしました。

 

単行本で読みましたが、文庫で解説付きで読んだ方が良かったかと今更ながら少し後悔。

 

評価 ☆☆☆

2024/01/09

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