海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

おおらかなルネサンス期のイタリア。でも不貞は見つかると死刑だよ |『愛の年代記』塩野七生

皆さん、こんにちは。

今年は日本へ一時帰国するというのもあり、「よし、塩野氏のローマ人の物語大人買いして読破してみるか!?」と思いつつの帰国。ところが手術だなんだとバタバタしている間に時は過ぎ、途中まで買った本(20巻くらいまで?)は積読本と相成りました。

併せて買った他の本らは、比較的とっつきやすそうという事もありボチボチ読んでいたものです。で、その一端の本作。これもなかなか面白かったです。

はじめに

結構面白かったです。

ひとことでいうと、イタリア版まんが日本昔話(アダルト)、みたいな。

デカメロン」「カンタベリー物語」的なのですが、塩野氏の揉みこみがありますので、より読みやすい感じです。

 

不貞話が大半

ということで内容ですが、一部連作ですが、短編集といったところ。

浮気の話が多いのですが、最後の女法王ジョバンナなどは活劇的面白味のあるお話でした。あとはジュリア・デリ・アルビツィの話。これも現代では考えられませんが、ちょっと面白かったです。

 

大公妃ビアンカカペッロの回想録・・・駆け落ち同然でフィレンツェに来たら、玉の輿で再婚!

 

ジュリア・デリ・アルビツィの話・・・妾腹の子として生をうけ日陰に生きたジュリアが命じられたのは、とある大公の性的能力証明のためにヴァージンを捧げる事とは!

 

エメラルド色の海・・・サヴォイア公へ嫁いだフランス王女を装うピアンカリエリ伯爵夫人。対峙するのは、イタリアの漁村生まれのトルコ海賊ウルグ・アリ。たった一目の邂逅に潜む恋の話。

 

パリシーナ侯爵夫人の恋・・・後妻として嫁いだ夫人と義息との禁断の恋。隠すものは見つかる運命。

 

ドン・ジュリオの悲劇・・・フェラーラ公国の跡取り四兄弟。優男のジュリオの身から出た錆、ないしは出る杭は打たれる的な悲劇。

 

パンドルフォの冒険・・・貞操で名高かったキアラが、こっそりと働いた不貞。ところが余命を知ったキアラは不貞相手のパンドルフォをあの世の道連れにしようと企むが。。。

 

フィリッポ伯の復讐・・・フィリッポ伯に嫁いだうら若いイザベッタが企てた不貞。勘づくフィリッポ伯は泳がせ、暴き、3倍返しで妻と相手を処刑します。

 

ヴェネティアの女・・・有望な修行僧ガレアッツォが陥った妖艶なグリマーニ夫人の蜜。嫉妬の念は危険であることが良く分かる話。

 

女法王ジョバンナ・・・修道女ジョバンナが恋に落ち、男装して駆け落ち、ギリシアでその才能に花開き、遂にはローマに舞い戻り女(男装)法王として君臨するサクセスストーリ。

 

おわりに

ということで塩野氏によるルネサンス期イタリアの艶話集でした。

カトリックのおおらかさは、この年になると悪くないなあと感じる今日この頃。逆にプロテスタントは一つ間違えると、すべて間違えていると糾弾されそうな印象ですね。

 

評価 ☆☆☆

2024/06/09

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