海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

土曜日の大学で、推理小説に関する授業 from 香港―『見えないX』著:陳浩基


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きっかけ

香港発の新本格ミステリ作家の陳浩基氏の作品。私はこれまで『世界を売った男』『13・67』と読んできました。このどちらもアッと驚く展開が面白く、また香港の異国情緒がなんともいい雰囲気で、私のお気に入り作家となりました。日本のミステリネタも随所に出てくるので、なんとも親近感が湧きます。

 

 上記二冊を読了後、Amazonでお勧めとして挙がったのが、この『見えないX』でした。短編の読み切りで200円でしたので、早速購入し読んでみました。

 

ザックリあらすじ

 簡単なあらすじはこんな感じです。

 主人公が土曜日の大学で授業を終えて帰ろうとすると、雨。講堂から出られずぼんやりしていると、そこにはもう一コマこれから始まろうとする授業がある。これがなんと、「推理小説鑑賞 ― 創作と分析 教授:耿旭文」とある。冷やかしにモグると、生徒はたった数人。そこで先生が出したお題は、「先生の協力者であるXが生徒の中に紛れている。それが誰だかを当てる。当てた人にはAの評定を確約する」というもの。果たして結末は。。。

 

単純に楽しむにはよい

 私は、本作の良いところはとにかく気軽に読める点だと思います。土曜の大学の朝の一コマなんて、きっと閑散としているんでしょう。しかも雨。そこで展開される推理合戦。生徒たちが探偵のごとく立ち回り、生徒の中に潜む「協力者X」を探し出します。情景も目に浮かぶようです。短編ということもあり、小一時間あれば読み終わります。

因みに本作では、倖田來未、Misono、名探偵コナン毛利小五郎等々、随所に日本ワードが出現します。作者は相当に日本文化に馴染んでいるのでしょうねえ。

 

中国人の名前が読みづらい(わからない)泣

 あと、敢えていうほどでもないのですが、中国人の方の固有名詞はちょっとよくわかりませんでした(張菲とか呉宗憲)。ただ逆に、ご存じの方であれば一層楽しめるのだと思います。私は残念ながら存じ上げず、たとえで使われていたのですが、そこはイマイチわかりませんでした。

 

おわりに

 全般的は楽しめます。時間がすこし余ってしまったというときなどに読んでみてはいかがでしょうか。ただ、腰を据えて読んでみられるのならば陳浩基氏の作品ならば今のところ「世界を売った男」がお勧めです。

 

評価 ☆☆☆

2020/11/29

 

見えないX

見えないX

 

 

以前著者の以下の作品をレビューしました。正直な話、本作より下記2作の方が面白かったです笑

揺れる香港の昨日。本格ミステリに描かれる香港社会体制とノスタルジー―『13・67』著:陳浩基 訳:天野健太郎 - 海外オヤジの読書ノート

アジア発推理小説という新たな世界―『世界を売った男』著:陳浩基 - 海外オヤジの読書ノート

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