海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

女子高生らが一人称で語る、事件への顛末と真相 |『蛇行する川のほとり』恩田陸 

皆さん、こんにちは。

そういえば、この11月でこちらの会社でお世話になって10年経ちました。

思えば色々ありました。会計課には嫌われ「あいつはアホで英語も喋れないからもう話したくない」と上司にチクられたり、午前2時まで必死こいてエクセルの関数のミスを探したり、初めは大変でした。

そうこうするうちに、息子は日本へ帰り、娘も日本に戻り、いつの間にか妻との二人暮らしに。まあ年を取ったという事でもあります。

 

そうそう、会社から15000円程度の慰労金が出るそうです。ちょっとケチだよねえ。いや、あるだけましか?

 

はじめに

1992年にデビューした恩田陸氏による作品。文芸誌に分割掲載されたのち、2004年に単行本化。

強いてラベリングするならば、ミステリー系青春小説!?

 

群像劇、一人称視点で物語は展開する

恩田氏お得意の群像劇系の作品。

構成としても4章からなる各章をそれぞれの学生の一人称で語らせるもの。この手法も馴染んできました。

 

第一章は毬子の視点。
高校二年生の美術部。まだ純真。高校三年の憧れの先輩二人(女)と演劇祭の舞台背景作成のため、先輩の家(女ですよ)にお泊りにいくということでウキウキ。また、親友がダブルデートを仕組んで他校の男子と知り合いになったり、身辺に動きがあります。ただし、先輩の家にお泊り合宿すると、物事は予想しない展開になってゆきます。

第二章は芳野の視点。

彼女は高校三年の美大志望の女の子。香澄という相棒とともに、学校でも超然とした様子に映る彼女からの視点。非常に冷静に世界を観察し、毬子のあどけなさ、相棒の香澄の分からないところ、香澄の家での女子合宿への闖入者たる月彦(香澄の従弟)やその友暁臣の心情を読み取り、時に牽制し、時に操ろうとします。

 

第三章は真魚子の視点。

ってか名前が妙に少女マンガっぽい雰囲気。

彼女は毬子の親友。素直過ぎる毬子と比べれば彼女はかなり冷静。仲間として毬子も好きだし、ボーイフレンドも好き。一学年上の芳野と香澄の超然コンビに憧れもあるものの、違和感もある。そうした中で毬子が二人に抱きこまれるように合宿に参加するのが若干悔しくもあるという感情も。

 

物語りの後半以降を締めくくる重要なポジション。言わば物語の見届け人のような立ち位置。

 

終章は香澄の視点。

あたかも彼女の辞世の句のような短章。

三章までではいまいち確証が持てない空白部分を彼女の独白が埋めてくれます。

 

おわりに

ということで、恩田作品でした。

夏休みの私的合宿(お泊り会)から一つの事件が発生し、それには過去から因果があったことがつまびらかになる、というものでした。

性格のはっきりと異なるキャラを配置して一人称で語らせる、というのがいかにも恩田さんらしい作品でした。

 

評価 ☆☆☆

2024/11/02

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