この本はダイエット本としては威力は相当高いというのが実感です。痩せます。
しかしながら、社会人が体調管理をよりよくするための本としてこの本を読む場合、ちょっと疑問が残る仕上がりであると感じました。
先ずはいいなと思った点。
一つは、空腹感と空腹との分別(レッスン03)。体が欲している空腹と、周囲の状況から脳が欲する空腹感とは違うとしており、空腹の時に食事をとるように主張しています。肌寒い野外スタジアムで隣でカップラーメンカレー味を食べていて自分も食べたくなるとか、テレビでグルメ番組を見ておいしそう!と思って何か食べたくなるものは空腹感。でも本当に体が欲しい時、つまりおなかが鳴るときだけ食べ物を食べるべきというのが筆者の主張。空腹”感”を感じて食べる食事は不要な食事、ということになります。なるほど。不要な食事を良くしていました笑
次に良かったのは小食の薦め(レッスン06)。一日一食は非常に極端に聞こえますが、実はいわゆる腹八分目の薦めです。この古くからの言い伝えを彼なりにアレンジして一日一食が手っ取り早いとしていますが、筆者の述べるエッセンスは、一日一食というインパクトが強い表現と比較して、実際は大分穏健であると思います。食べ過ぎが続くときはこの章を重点的に読み返し、反省しています。笑
反対に疑問に思った点。
先ずは運動に対する言及の無さ。私は運動(エクササイズ)の信奉者で、運動がコンディショニングに欠かせないと思っています。もちろんこの本はダイエット本であり食べ方を変えることで痩せられれば良いのでしょうが、運動をするとしたら一日一食でいいのかどうか疑問に思いました。
次に、血糖値スパイクについての言及の無さ。筆者も糖質オフをうたっており(レッスン08)、糖化を防ぐことが体に重要であると述べる一方、一日一回の食事で血糖値スパイクが起こる可能性や制御方法については全く記載がありませんでした。まあ確かに痩せたい人には糖質を省けば痩せるのでしょうが、インシュリンを消費しすぎて逆に糖尿病への近道になりはせぬかと心配になりました。
そして完全栄養という概念について。これが良くわかりません。丸ごと食べられるものが良いという事なのでしょうが、やはり栄養については栄養士の意見や参考文献をちらっと見せた方が良いのではと感じました。
つらつら書きましたが、纏めます。
本書は、ダイエット本としては大変に威力あります。私も痩せました(安全かどうかはわかりません)。コンディショニング本としては沢山疑問が沸きました(ごめんなさい)。とはいえ、筆者は装丁ほどポップで軽い方ではないと思います。レッスン一つ一つはとても中庸ですし、あとがきのエピソードにも父親を心臓病で亡くし、それが自身のダイエットのきっかけになった等書いているからです(ついてで言うと何でこのエピソードを冒頭に持ってこなかったのかなあと思いました。こういう体験に裏打ちされたエピソードや言動が人を動かすのだと思います笑)。
内容や装丁には出版社の意向が強く働いているのでしょうが、もっと硬派で突っ込んだ話を聞きたいなと私は思いました。
評価 ☆☆☆
2020/03/09
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