バンコクはマリファナが合法とか。葉っぱマークの店がいたるところに。
皆さんこんにちは。
引き続きバンコクから書いています。
子どもの学費が片付いたら、今とは違うどこかで暮らそうか、などと家内とよく話します。
今住んでいる居所もいいのですが、別の外国でも住めるのかなー、やっぱり日本に戻るのかなー、でも親がいつまで元気だか分からんし云々。
個人的には田舎でも都会でもない町で、海も山もその県にある、ざっくり人口20万人程度以上の市。ぼんやり茨城県とか(実家から半日で帰れるし)、福岡県近郊(イメージ先行?)とか考えています。まあでも行ってみないと(極論住んでみないと)分かりませんが。
そんな視点でバンコクを見つめると・・・。ちょっとしんどそうだなあ、と感じます(バンコク好きの方、すみません!)。まず日本人が多い(うろ覚えでは東南アジアではシンガポールに次いで二番目)!電車でも良く日本人を見かけます。何なんでしょうね、あの外国で日本語を聞くとはっと身構えてしまうやつ。妙に居心地がよろしくない。
そして白人の男性と現地人の年齢差のあるカップルが都会を歩いていたりのを目にしたり(もちろん夫婦の可能性も)、スーパー渋滞に時間を取られたり、なかなか小汚い道路を排気ガスにまみれながら汗ばみつつ歩くなどしていると、老年に向かいつつある私が穏やかに暮らすとすると、ちと厳しかろう、と感じた次第です(特に奥様と一緒だと、ほら、ねえ)。
もちろん若い人なら別ですね。がやがやしていますし、うっかりはめをはずしてしまいそうな、そんなそわそわした雰囲気は僕個人は大好きです笑
問わず語り、失礼しました。
さて今回の本は旅行の移動中にサクっと読んだものです。
ひとこと
宮下さんの作品は二作目です。前に読んだものはどうもピンとこなかったのですが、こちらは結構好きな感じでした。
若き調律師の外村の熱意、そして彼を取り囲む個性的なパイセン達、いいですねえ。
どんな話? ピアノ調律師の職業話?
本作、大まかに言えば、特にあてもなくぼんやりと生きていた高校生が、とあるピアノの調律師と出会い、道がひらけ、良い調律師を目指して頑張っちゃうという話です。
このような特定の職業・専門職の話というのは、やはり面白いものです。
警察、探偵、弁護士、家政婦、等々。一億総サラリーマン、とは言い過ぎですが、日本では何でもやる(やらされる)サラリーマンが多数派であろうかと思います。その一員たる私からすれば、かような専門職は実に自分からの絶対値があるなあ、ちがうなあと感じつつ興味深く読ませて頂きました。
だってですよ。
ピアノが弦楽器とかハンマーで弦を叩くとかは知っている人も多いとは思いますよ。でも、そのハンマーの先っちょが羊毛でできており、その羊毛に針を刺したり刺さなかったりすることで微妙な音加減を調整するなんて、知りませんよね! そういう細かいところの調整ってちょっと素敵じゃないですか。自分の納得感の為にひと手間を惜しまない。賞賛します。
あ、ちなみに私は合格点主義の仕事の仕方なので(受け入れられるギリギリを狙い、完璧を避ける)、憧れるわりに本作とは対極の仕事の仕方であります。
人間の根っこは一緒
このような専門性のある職種は、その詳細が面白いのですが、他方で、人の営み、頑張ること、悩むこと、困難を乗り越える等は仕事に関わらずあることだと思います。
これらの要素をストーリーに振りまくことで、読者が全く異なる職業であっても共感が持てる形になっているように思います。
特にピアニストを諦めて調律師になった秋野さん。また双子の姉の音を「作る」ためにピアニストではなく調律師を目指すことになる妹の話などです。道を諦める、そのうえで自分で道を選ぶ。若い時にはある話かと思います。
実際にはやりたいことが決まらない・分からないことが多いとは思いますが、こうして道を選べる人は応援したくなりますよね。
おわりに
ということで宮下氏の作品二作目でした。
楽器経験者には、また音楽がやりたくなる本、ですね。埃をかぶったままのうちのマーティン、娘が日本に帰ってそのままになった河合のピアノ。触ってあげたくなりました。
ちなみに、架空のピアノ会社にリーゼンフーバー社ってありましたね。あれのネタ元の類推ができる人は「♪麗しのAlma mater」が同じ方やもしれませんね。
評価 ☆☆☆
2023/12/11