海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

素直さと伸びやかな関西弁で描かれる恋愛 |『あおい』西加奈子

息子の甲子園予選を見てきました。

堂々たるコールド負けでした。この三年、親としてほとんど何もしてあげられませんでしたが、楽しそうに引退できたことが救いであります。

果たしてここからきちんと受験に切り替えできるのか。「そうなんですよ、そこなんですよ」と他の保護者と激しく同意。まあ高校生なんてそんなもんだよな。結局は親が言おうが言うまいが、本人次第。

でも、だからこそ親は何をすべきかと堂々巡り。敢えての黙って見守り?でもそれって放任と実質一緒じゃね?

と言いつつ、元気ならば何でもいいか、と最近達観しつつもあります・・・

 

ひとこと

西さんのデビュー作。

個人的にはすんごい好みというわけではありませんでした。ただ、西さんの美しい比喩、伸び伸びとしたユーモアのある関西弁は既にここで顕在しています。

 

内容

西加奈子のデビュー作。表題作「あおい」の他、「サムのこと」「空心町深夜2時」の短編を収録。

 

恋愛ものです

西さんの恋愛ものは難しい。自分の常識に合わない女の子が大概主人公。

裏表紙を見ると、27歳、スナック勤務、三歳年下の駄目学生・カザマ君と四カ月前から同棲し、彼の子供を身ごもる、とあります。

 

友達ならば面白いんだろうなあとか感じます。

でも、私の読み方は自分だったり近しい人を投影して読むタイプ。こういうのが自分の嫁だったり娘だったりしたら・・・それは困りますわ笑。

 

西さんの特徴はここでも

散々ウームと(やや否定めに)唸りつつ、でそれでも読んでしまう、西さんの作品。

ふと考えるのは、自分は一体何に惹かれるのか、ということ。

 

山崎ナオコーラさんが書いている解説にその答えが。

「率直」「みたまんま」。これです。

「あおい」にせよ「サムのこと」にせよ、登場人物がどうにも憎めない。でそれはやっぱりどの人物も「率直」なんです。私はこういう、思ったことをそのまま伝える人に親近感を感じるみたいです。

もちろん、伝えることには非常な技術が必要であり、その言語力だけは西加奈子レベルでありますからね笑

 

おわりに

ということで西さんのデビュー作でした。

恋愛小説が好きな方、純文学が好きな方、西さんが好きな方にはお勧めできる作品です。

因みに私は「サムのこと」が面白いなあと思いました。友人の葬式で初めてその友人の素顔を知るという話です。

 

評価 ☆☆☆

2023/07/12

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