はじめに
本作を読む前に丁度村上春樹氏の『1Q84』を読んでいたこともあり、もうこの綿矢りさ氏ってのは「ふかえり」のモデルだよなあー、と思いつつ読んでいました。
そんな綿矢氏は、京都市出身の小説家。17歳で『インストール』が第38回文藝賞を受賞し、2004年早大在学中に『蹴りたい背中』で芥川龍之介賞を受賞、当時最年少記録。以後『かわいそうだね?』(大江健三郎賞)、『生のみ生のままで』(島清恋愛文学賞)など多数受賞。
感想は、ふーん
過去に綿矢りさ氏の作品はいくらかは読んだのですが、残念なことに殆ど覚えていませんでした。
昨年一作読みましたが、こちらも記憶がおぼろげ。
で、本作は氏のデビュー作であります。
表題作「インストール」と「You can keep it」の短篇二篇収録したもの。
前者は、高校三年の受験生の女の子が、とある日に一大決心して受験勉強を放棄、登校も放棄して同じマンションのさる小学生6年生男子の部屋に忍び込み、アダルトチャットレディ―としてバイトする、みたいな筋。
後者は、高校の時から人にものをあげる城島の話。他人に優位に立つためにその行為をしていた城島だが、大学で好みの女の子にこの「あげる」作戦を、しかも嘘をついて(それがまたしょうもない嘘)作戦を実行、結果嘘がばれて、さらに「あげる」作戦の心根も見透かされ、城島は地に堕ちてゆく、みたいな筋。
で、感想は、ふーん、なのです。
何とも言い難い。
もう少し付け足せば、ちょっとキャラが奇抜だなあって感じた。
「インストール」の主人公朝子の破天荒な行為と言動、小学六年にしてネカマとして風俗嬢とメル友になる青木少年。その継母で挙動不審でオクテ、しかも勝負下着のブランドで販売員をしている青木母など。
「You can keep it」も城島のキャラはちょっととんがってんなって。
とは言え、やはり全体では、わたくし的にはニュートラルで良しあしの針が振れなかったというのが実情。
高橋源一郎氏の解説後に再考
ただ、巻末の高橋源一郎氏の解説を読むと若干捉え方も影響されます。
まず、これが高校生だった作者のデビュー作であるという点。
確かに、高校生でこれですから、ストーリ展開とか、敢えての現代的言葉遣いとかは、「ちょっとやり過ぎ感・迎合感あるかもなー」と思ったところが「若手作家らしいフレッシュな書きぶり」と自分の中で上書きされます笑
また高橋氏が「完璧」と絶賛する表現ですが、その抜粋を目にして、口にして、「やっぱ、確かにすごいかも」と思い直す。
思いっきり影響されていますが、そういう微視的な話は専門家の解説はありがたいですね。ただやっぱり、好き嫌いでいうと、ふつう、なのかなあ、という感触でした。
おわりに
ということで綿矢りさ氏の作品を一年ぶりくらいに読みました。
合わないということでもないので、今後もう少し渉猟してみたいなあ、と考えております。
評価 ☆☆☆
2025/07/08

