皆さん、こんにちは。
12月に入りましたが、忙しくて本が読めなくなってきました。
本作も、11月にゆーくり、ゆーくり読みつつ、最後は居所に戻る際の飛行機上で読了したものです。何となく備忘を書きそびれて、今頃になり、まさに忘れぬように綴ったもの。
ああ、本が読みたい。
もっと仕事で楽したいので、やっぱり来年は仕組みやプロセスの見直し(マクロ等も共通化・部品化)でもしようかなとぼんやり考えています。
ということで本題に参ります。
地下鉄サリン事件のインタビュー集。だけど文学!?
いやあ、長かった。実に長い。
一部例外がありますが、ほぼ上下二段組みで合計777ページ。
あの村上春樹氏が、オウムの地下鉄サリン事件の被害者からのインタビューをまとめたもの。
だからジャンルで言えば、ノンフィクション? かと思うじゃないですか。ただ、そこはかとなく村上氏のエッセンスがブレンドするのです。だから、やっぱりこれは村上文学なんだろうな、と感じます。
いつのまにか『ナショナルストーリー・プロジェクト』
繰り返しになりますが、内容といえば、62人の被害関係者へのインタビューがただただ掲載されているものです。
上で村上氏のエッセンス云々いっていますが、各インタビューの前に見開きでその方の略歴、村上氏の抱いた印象がデッサンのごとく粗く表現されています。
ごく短い、本当にざっくりとした印象であろうかとは思いますが、この1-2ページが各インタビューの冒頭で待ち構えることで、やはりそれ以降のインタビューの印象は村上氏のそれに引きずられると思います。
まあ別にこれは悪いことでもなんでもなく、そういう作品、ということだと思います。村上氏の直観的描写も、取り立てて悪意を持って書かかれているようにも見えませんし、むしろ暖かいと感じました。
そして、いつ間にか、読中の印象は『ナショナルストーリープロジェクト』のような、日常に潜む不思議な体験を綴るかのような風合いを感じるようになりました。私はね。
故に、いろんな人がいて、事件に遭った。大変な方もいますが、多くのかたは従容として受け入れているように読めました。実に皆さん悟るかのように生きているなあ、という印象すら持ちました。もちろん、怒り狂っているような方も当然いらっしゃるのですが、ただ大半は事実をフラットに受け止めているように見えました。
もちろん、インタビュイーはほんの氷山の一角。
こんな話はしたくないし、聞きたくもないという被害者も居ると思います。そういう方にとっては、作中の大半の方のような従容とした態度が、あるいはその表現が、なにやら不謹慎だと思うかたもいらっしゃるかもしれない、と少し心配になりました。
批判を避けるためというわけでもないのですが、やはりこれは村上氏の文学のひとつ、直球のノンフィクションとは違う、と捉えたほうが良いと思いました。
おわりに
ということで、村上氏の『アンダーグラウンド』でした。
これも実に約30年前の作品となります。当時の狂騒を思い出します。あれから日本は良い方向に変わったのかなあ。
かつて「事件を総括するべき」「何だったかを振り返るべき」などと叫ばれた気もしますが、あれから考えることもなく、振り返ることもなく、事件は時の波にのまれつつ風化しただけに感じます。
またぞろ同じような事件が起きないといいな、と祈るばかりであります。
評価 ☆☆☆☆
2025/11/25

