あらすじ(文庫裏表紙より)
記憶の片隅に残る、しかし、覚えていない「夢」。自分は何かと戦っている? ――製菓会社の広報部署で働く岸は、商品への異物混入問い合わせを先輩から引き継いだことを皮切りに様々なトラブルに見舞われる。悪意、非難、罵倒。感情をぶつけられ、疲れ果てる岸だったが、とある議員の登場で状況が変わる。そして、そこには思いもよらぬ「繋がり」があり……。伊坂マジック、鮮やかなる新境地。
異世界と近未来の行ったり来たり
全く関連性も類似もしない三人、製菓メーカーの広報の岸、政治家の池野内、そしてアイドルの小沢ヒジリが、実は夢の中で共に戦っていた? そんな夢の記憶からはじまる、結構摩訶不思議なお話。
相変わらずのユーモアたっぷりの奇想天外な発想でしたが、夢の世界で怪物?怪獣?(というか単なる獣?)と戦うっていうのが一種異世界ファンタジー的な差し色となっております。氏の作品でいうと『夜の国のクーバー』や『マイクロスパイ・アンサンブル』のような、戦闘のモチーフが通底していたと思います。
但し、大半は現実世界でのてんやわんや。とりわけ岸の先輩栩木係長の劣勢な立ち位置だったり、パワハラ広報部長の旧態依然なショーワ上司っぷりだったりが印象的でした。
それ以外にも真面目な池野内議員の嘘とも本音とも知れぬ愛人沢山いる発言とか離婚とか、製菓メーカーでの遺物混入への炎上とか、厳しい状況をユーモラスな会話で描写する様はさすが。
また最後の締め方は、まさかの人物がGOサインを出す、ニヤリとしてしまう展開。キャラクターの配置と時間の経過をうまく利用した、ひねりの効いた締め方だったと思います。お上手。
なおファンタジー的な部分は文書ではなく、随時マンガのようなページが差し込まれており、直感的に『違う』世界の描写がされていることが分かります。こういう工夫も素敵ですね。
おわりに
ということで、大好物の伊坂作品でした。
いつも通り面白いは面白いのですが、前回読んだ伊坂作品との間隔が一週間もなく、感激がやや薄かったかもしれません。
本を読む順番というのも、なかなか難しいかもですね。作家ローテみたいな読書ローテ法については考える余地がありそうです。
評価 ☆☆☆
2025/11/04

