あらすじ(裏表紙より)
台湾に日本の新幹線が走る。商社の台湾支局に勤める春香と日本で働く建築家・人豪の巡り逢い、台湾生まれで生まれ戦後引き揚げた老人の後悔、「今」を謳歌する台湾人青年の日常……。新幹線事業を背景に、日台の人々の国を超え時間を超えてつながる想いを色鮮やかに描く。台湾でも大きな話題を呼び人気を博した著者渾身の感動傑作。
悲恋かと思いきや…
台湾新幹線を舞台に日本と台湾をつなぐ恋の物語、とでもいいましょうか。
商社勤務の春香と、春香を思い日本に留学し就職までした人豪。彼らのすれ違いが物語のメインに据えられます。
この恋物語、行く末は分かりませんが(続編出そうな)、逢えそうで逢えないヤキモキした展開。その長々と続く悲恋っぷりは以前読んだ平野啓一郎氏の『マチネの終わりに』に通ずるところありました。
もちろんこの作品、それだけではありません。
現地人に恋し、妻子と仲が悪くなる安西の話(駐在(たまに)あるある)、日台の仕事のスピード感の話(これまた駐在あるある?)、はたまた台湾新幹線の整備工としてぐうたら人生を改めようとする威志の話など、幾つかの話が次第に絡まり合うところもまたよし。
とくに、ほのぼの系の威志のキャラクターは『横道世之介』を思わせるナイスガイ。読み口も自然と和んだものになったと思います。
おわりに
ということで、久々の吉田作品でした。
ビジネス小説?恋愛小説?青春小説?などなど、幾つかの要素がバランスよく配分された作品でした。キャラがどれも伸び伸びとして、なんとも微笑ましいというか、和やかな作品だったと思います。
吉田作品、癖になるかもですね。
評価 ☆☆☆
2026/05/19

