道尾氏について
道尾秀介さんの本は初めて読みました。
お名前は以前から存じ上げていましたが、どういうわけか手に取ることもなかった次第。
Wikipediaで見ますと、道尾氏は私と同じ1975年生まれ(因みに五月生まれも私と同じ)。2004年に『背の眼』でデビュー。以降、サスペンス調ミステリーでヒットを連発。
本作『ラットマン』は2008年発表、「このミステリーがすごい!」等で高く評価される。
とにかく(個人的に)懐かしい設定
もうこれは同世代であるという産物の賜物ではありますが、「時代が同じだなあ」「合うなあ」という感想。
私も中学・高校からバンドをはじめ、マックでバイトした金で神保町やらフリーマーケットやらで中古のギターを買いあつめ、タワレコとディスクユニオンでCDを買いまくりました。そして最後は、ヘッポコながら学園祭で演奏し、高校生活を終えた記憶があります。
洋楽にも例外なくハマり、エアロスミスもボックスCDを買って、よぉーく聞きました。本作にも出てくるToys in the atticや Walk this wayも何度聞いたか分かりません。
スタジオでの練習とかMTRとかも、もう「そうなんだよねー」と思いつつ読んでしまいました。
ノワールな書きぶりと、大どんでん返し
で、作品そのものの特色といえばやはり巻末の大どんでん返し(この表現も死語ですねえ)、でしょう。
作品は、父と姉を幼少期に亡くしたバンドマン姉川が、彼女でありグループの元ドラマーのひかりを殺めた?体で書かれています。
この姉川がもうもっさりと暗い、低体温なキャラとして描写されるのですが、次第に明らかになる事実が、兎に角私の予想を裏切る!
その展開と、意表を突く事実に驚かされっぱなしでした。
そしてそのノワールさは、仄かに中村文則氏を彷彿とさせるものもありますね。
この暗い感じが結構私の好みでありました。
ひとってやっぱり、こういう暗い部分・いやーな部分もあるはず、という信念があります。その点、謂わば「性悪説」的な部分をきちんと描いてくれる方が、私としては人の実態が描かれているなあ、という気がするんですよね。
おわりに
ということで、私にとっての初めての道尾作品でした。
解説で大沢在昌氏が「自分は熱いものを持っているものが好きで、そういう人物造形をしてしまう」という旨を書きつつ、この低体温なノワールな書きぶりに魅せられている話をされていました。それもまた同感です。
ノワールなサスペンスが好きな方、バンドなどの音楽活動に興味がある方などにはおすすめ出来る作品だと思います。
評価 ☆☆☆
2025/05/11

