皆さん、こんにちは。
最近、三浦しをんさんの作品を結構読んでいます。
思えば私が中年になり読書を再開したそもそものきっかけは、二つ。
一つはダメリーマンな私が、何とか自分を立て直すためのヒントが欲しくてビジネス書や自己啓発書を読み漁ったというもの。
もう一つは、日本語がヤバい子どもたちが日本の高校に進学したいと言い出したため、彼らの国語力向上を目指し子どもでも面白く読める、練習になる小説を探すというもの。
後者の文脈で東野圭吾さん、森絵都さん、恩田陸さん(爽やか系作品のみ)などをチョイスして勧めていましたが、いまや子どもたちも無事高校・大学へと進学。私の文芸・エンタメ系読書はこの路線を引きずる形で続いております。
で、どこで出会ったのか忘れましたが、三浦しをんさん。この方の書き方が何というか最近ツボなんですね。『まほろ駅前~』もそうですが、東京都町田市出身の私からすると、勝手に親近感がわいてくる作家さんであります。
ということで氏の本を読了したのでレビューをしたためたく思います。
あらすじ(裏表紙より)
川田幸代29歳は社史編纂室勤務。姿が見えない幽霊部長、遅刻常習犯の本間課長、ダイナマイトボディの後輩みっこちゃん、「ヤリチン先輩」矢田がそのメンバー。ゆるゆるの職場でそれなりに働き、幸代は仲間と趣味(同人誌製作・販売)に没頭するはずだった。しかし、彼らは社の秘密に気づいてしまった。仕事が風雲急を告げる一方、友情も恋愛も五里霧中に。決断の時が迫る。
解説 金田淳子
真面目な社員が報われる、エンタメ系会社小説
ちくまの黄色いカバー、結構硬派な感じで好きです。というか、私にはちくま学芸文庫のイメージです。
スティーブン・ピンカーやウイルソン、ヘアなど米系の生物学や倫理学、ホッブスやベンサムなど英系社会哲学系、そのほか古今東西の学術系の古典から解説書から実に豊富なラインナップ。もうお金と時間があれば大人買いしてよだれをたらしながら読みたいものばかり。
そんなちくまの硬派の姿をまとった本作は、タイトル・背表紙だけは固いのですが完全・完璧なるエンターテイメント。何しろ裏表紙のあらすじに「ヤリチン先輩」「ダイナマイトボディ」などの語が羅列されますからね。
でも、ドタバタだけにとどまらないのは、本作のキャラクター造形が「真面目」「素直」「頑張る」「一生懸命にやる」などの日本の一般的労働観・倫理観に響く価値観を体現しているからかなーとか思います。メインキャラの幸代も9-5時で仕事を上がりたいと言ったら閑職に追い込まれるも、その閑職に手を抜くこともなく(それゆえ)社内でひと騒動起こすことに。
会社にはたいてい売り上げ至上主義とか成果主義とかそういう価値観が過去から続いているわけです。それらの影響で出たひずみや黒歴史などがあるわけです。これらが、閑職のへっぽこたち(だけど素直で真面目)によって明るみに出る点こそ、本作の勧善懲悪的清々しさの頂点であると思います。
社会派小説・サラリーマン小説といえば池井戸潤氏が思い浮かびますが、氏の小説のはある意味リアルすぎ・深刻?すぎる感じですが、本作は方向をもっとエンタメに寄せた感触であると思います。
コミケ、腐女子などの要素も大いにフィーチャーれておりまして、確かになるほど、そういう要素も一般の人には知れない、面白い世界であり、へえーという思いで読めました。
おわりに
ということで三浦氏の作品を読了しました。
引き続き氏の作品をトラックしてゆきたいと思います。純粋にくすっと笑って読めるところが良いですね。
評価 ☆☆☆
2025/12/19

