皆さん、こんにちは。
物価の高騰を肌で感じるきっかけの一つに古本、があると思います。
例えば今回の本、奥付を見ると令和二年二月の初版とあります。つまり、2020年。カバーにある価格は税別で680円。そしてISBNでアマゾンで現在価格を見てみますと税込みで902円、税抜きで820円。2020年から2026年のたった6年で価格は20.5%も上昇していた!!
当然ながら給料は20%も上昇するはずもないので、生活が厳しくなるのはさもありなん。
とはいえ古本くらいは、たまの帰国の際はリミッターつけずに買いたいですね。でも根が貧乏性なので3000円くらい買うともう半年分くらい買った気になってしまいますがwww
ということで本題に参ります。
あらすじ(裏表紙より)
「兜」は超一流の殺し屋だが、家出は妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。引退に必要な金を稼ぐために仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。物語の新たな可能性を切り開いた、エンタテインメント小説の最高峰。
はじめに
殺し屋シリーズ第三弾。伊坂氏の2017年の作品。
相変わらずの洒脱な会話劇、秀逸な人物設定、そして驚きの結末でした。
恐妻家「兜」の人物造形がいい
今回の殺し屋は恐妻家。
奥さんを煙たがる話や恐妻家の話は、人と話すときの「つかみ」の典型の一つですね。私もことあるごとに家内をだしにして、「残業すると家内に殺されるので」とか何とか、嫁を悪者にすることが多いです。実際それで苦笑をいただき、定時前後の出たくない会議や出席要否がグレーなものが出席不要になることも。
ただ、本作の殺し屋の恐妻度は半端ない。
妻は絶対に正しいという前提のもとに動く様は苦笑なくしては読めません。また、ボルダリングジムで出会った松田さんと恐妻家仲間になるあたりも、非常に気持ちが分かります。
何せ妻対応マニュアル、を枕元に隠し持つわけですからね。
魅力的なのは、そのような家庭的?な生活の反面、恐れずに人を殺してしまう殺人者であるというギャップ。
このギャップは伊坂作品でしばしば出てきますね。泥棒の黒澤氏だったり、「ギャング」シリーズの盗っ人たちも悪事を稼業としつつ、一家言ある筋の通ったところがある。そういう伊坂スパイスは今回も感じることができます。
愛の話か
あともう一つ感じたのは、結局これは愛の話、な気がします。
恐妻家の殺人者兜ですが、家族を守るために中古マンションを最後にこっそりと買ったわけです。また奥様も奥様で、兜が亡くなったあとに落ち込みが続いていたというのも、やはり愛に裏打ちされた影響かなあと。
だから読後はどこかほっこり。
日本人はとかく愛を口にしないと言われますが、行為とか態度で愛はきっと伝わると個人的には信じています。小説のように神様の視点で人間界を見ると、ありありと分かるのでしょうね。だから本作品も兜の死後の話に何だか感動してしまうと。
ただ、現実世界ではやはり口で愛をつたえるのが一番手っ取り早い(即効性がある?)でしょうね。愛って言うと違和感ありますが、感謝とかお礼、ですよね。って個人的には思います。
おわりに
ということで、今回も面白かった伊坂作品、殺し屋シリーズの第三弾でした。
実はてっきり第二弾だと思って読んでおり、あとがきを見てしくって第三弾を読んだと気づきました。逆に言えばそれくらい独立しており違和感なく読める作品でした。
評価 ☆☆☆
2026/08/09

