かつて日本には漫画に対する偏見は根強いものがありました。学校の先生にもマンガを読むと馬鹿になると至極当然のように言われたものです(今のケータイのポジションですかね)。
とは言え今から30年程前、私がまだ中学生だった頃から、文章に対する漫画の優位性が認知され始めたと感じました。それがまさに、神話・歴史など現代の常識では理解しがたい物語について理解する場合です。
文章で読んだとき、頭が???となってしまったり、zzzと眠気を覚えたりする一方、漫画では難解なストーリーも直観的に理解しやすいのです。プレゼンという言葉が一般語となった現代では、容易に理解できる状況かと思います。
さて、前置きが長いですが、このマンガ旧約聖書はめちゃくちゃわかりやすいです。全三冊ですが、第一巻は創世記をフィーチャーしています。有名どころではアダムとイブ(表記ではエバ)、ノアの方舟、バベルの塔、などが収録されています。
他に里中氏が所々で僅かですが解説(裏話?)を挿入しており、ストーリー解釈についても理解が深まります。
少しどうかなと感じたのはカタカナ表記です。できれば原語を添える、あるいは巻末に原語が載っていたら嬉しかったです。上記のイブとエバも同じ原語ですが、カタカナにすると全く違ったものに見えます。
とは言え、全体的には基礎を理解するには非常にスピーディーに理解できる便利なものかと思います。
もちろんより深い理解をするためには英語やヨーロッパ系の言語でのテキストのほうがベターなのでしょう。とは言え限られた時間の中でベーシックな話を理解するためには非常に優れた書籍であると感じています。時間がないけど旧約を大枠理解したい方にはおすすめします。
評価 ☆☆☆☆
2020/02/11
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