皆さん、こんにちは。
先週末に多摩川をぶらぶらと歩いてきました。実に6時間程度かけて25kmくらい。
川崎市から始まり、大田区、世田谷区、狛江市、調布市と辿りました。
競馬場があったり、打ちっぱなし、グラウンド(サッカーや野球)、はたまたお花見、入園・入学用の写真撮影等々、皆さん思い思いの様子で春を楽しんでいました。
やっぱり、四季は良いですねえ。
さて、本題に入ります。
はじめに
2004年デビューの西加奈子さん。彼女の2016年の作品。
米国男性と日本人女性の家庭に養子となったシリア人アイの物語。彼女のガラスのような繊細な心、それを取り巻く周囲と彼女の自身への嫌悪感や罪悪感をざらりと描く作品。
なお、珍しく関西弁が出てこなかった、と思います。
こんなお話
ということで、本作はアイというシリアが出自の女の子のお話。お父さん(米国白人)、お母さん(日本人)と血のつながらないという設定。
彼女は、雰囲気の読み取りが巧みで、かつ両親の気持ち・周囲の期待も理解する。でも、裕福な家庭で育つことへの罪悪感、シッターを雇うくらいの家庭でのシッターとの身分の違いにとことん悩む、そういった少女です。
当初米国で生活を送るも、後に父親の転勤で来日し、私立中学、私立高校と進み、ユウというかけがえのない友人を得る。
後に、ヘテロであるアイは不妊に悩み、体外受精を行うも流産。大きく心を乱します。一方レズビアンのユウは一時の過ちで妊娠するも、堕胎を予定する。親友然とした彼らの仲はこれを切っ掛けに引き裂かれ、そしてまた繋がってゆきます。こうして、物語は大団円を迎えます。
西さんの感情を捉える珠玉の言の葉
まあ本作の何がすごいかというと、この心の微妙な動きを的確にピンポイントで、しかもそれを自然に表現し文章を紡いでゆくことでしょう。
私みたいにがさつな人間はアイのような繊細な人も、『こいつめんどくせえ』って思ってしまいますが、それでも、文章の多彩さ、気持ちの「あるある」を見事に描くものですから、全く飽きずに読み終えてしまいました。
アイのように、他者と比べて劇的に幸運をつかんじゃった人だと、自らの幸福に罪悪感を(それこそ病むほどまでに)感じてしまうのでしょうね。もし私が近くにいたらみうらじゅんのエッセイでも貸してあげたくなったことでしょう。
その感受性の豊かさに、逆に居たたまれなくなります。本人もそれがおかしいと分かっているのに止められないのがもどかしい。
おわりに
ということで、久しぶりの西作品でした。
個人的には物語の筋は普通。感情の機微は「あるかもなあ」という感じ。でその感情描写の的確さ・表現力は抜群。すごい。
西作品は言葉を味わう作品であると感じた次第です。
評価 ☆☆☆
2025/04/01

