海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

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深すぎる愛の果てにたどり着くところとは? - 『容疑者xの献身』著:東野圭吾

本嫌いの長男が中二くらいのときに、初めて「この本、読んでみたい」と言ってくれた我が家にとっては記念すべき一冊。その後高校に進学して本には見向きもしていないようですが(本人曰く、忙しい)、夏休みには東野作品をブックオフで調達し、読んでみてい…

生物の妙!生物学は面白い―『ゾウの時間ネズミの時間 サイズの生物学』著:本川達夫

今から30年くらい前、私が高校生の頃、大学受験用の現代文でしばしば取り上げられていたのが本作「ゾウの時間 ネズミの時間」でした。生物学って面白いやんか!と感動したことを覚えています。もっとも、数式も結構出てくるので、数Iで数学に挫折した私には…

人は多様にずるをする!ずるの正当化がすごい!―『ずる 嘘とごまかしの行動経済学』著:ダン・アリエリー 訳:櫻井祐子

私の個人的なテーマとして人間とは何か、という疑問があります。 生物学的な仕組みも、感情の動きも、精神と肉体の繋がりもすべて興味があります。その関心は、学部生の卒論時から細々とですが途切れることなく続いています。 その点、本作も人間の癖や性向…

意味深な例文にハッとする笑 単調でない読み取りドリル

今春から日本の高校で学ぶ息子の楽しそうな姿を見聞きし、中学生の娘も『私も日本の高校に行きたいかも』と言い始めました。 本当に行きたいのならいいけど、あたな、日本語大丈夫? 結構ルー大柴みたいだよ!? とはいえ、やる気があるのにそれを潰すのも忍…

親日はうれしいけど、真の融和はどうすれば可能か分からない―『親日派のための弁明』著:キム・ワンソプ 訳:荒木和弘、荒木信子

大日本帝国が20世紀初頭から第二次世界大戦までに繰り広げた蛮行に関し、メディアで報道されるたびに、その子孫の一人である私は悲しくなります。 学校でも習うし、きっとそんな蛮行は本当なんだろうなとは思いますが、本当に悪いことだけだったのか、という…

正しいとは何か?んなの分からないよ!!―『これから「正義」の話をしよう』著:マイケル・サンデル 訳:鬼沢忍

今から約10年程前の作品。あのころは非常に盛り上がっていたように思います。コロナやオリンピックで騒がしい昨今、古本屋に並んでいた本作に、ブームは完全に去ったと判断し、そろそろ読んでみようと思い手に取りました。 しかしまた長いタイトル。原題は”J…

ミステリの名作。作品が面白く英語でもどんどん読める。―『MURDER ON THE ORIENT EXPRESS』著:AGATHA CHRISTIE

娘が学校の友人から借りてきて激賞していたので、そうなんだぁー、へー、と言いつつ自分も読んでみたくなり、早速試してみた次第です。 因みにこちらのジャケはインド亜大陸特別版とのことです。買ったのは東南アジアですが。 名前はよく聞いていましたし、…

「君臨すれども統治せず」の伝統はここから。イギリス貴族の気風の歴史を面白く伝える良書!―『MAGNA CARTA』著:DAN JONES

世界史を勉強していると、やれフランス革命だ、やれアメリカ独立戦争だと勉強するのですが、その都度引用されるのがマグナ・カルタ。したらマグナ・カルタって何なの?と思い、近くの新古品を並べる本屋で本書をゲット。円換算で500円程度でした。 読後の感…

ちょっとかじった初級者の復習用にピッタリ!?―『世界一簡単なフランス語の本 すぐに読める、読めれば話せる、話せば解る!』著:中条省平

数年前、奮発して家族でフランス旅行に行きました。 その際、こなせないとわかっていながらも、4・5冊はフランス語の本を買ったでしょうか。 因みに、私のフランス語歴は2年。ドイツ哲学が専攻でしたのでちょっとは役立つかなと学生時代にチャレンジしました…

金融専門家をほぼ100%否定する投資入門―『臆病者のための株入門』著:橘玲

お金についての不安。 シングルであろうが、世帯持ちであろうが、若者であろうが、老人であろうが、この問題はついて回る。 ましてはこんな世の中。 政府は滅茶苦茶な政策ばかり、年金不安も拭えない、金融機関はお金に働いてもらいましょうとあおってくる、…

食材の糖質を個別に確認することで見えてくるものがある―『食品別糖質量ハンドブック』著:江部康二

糖質制限ダイエット、皆さん試したことありますか? 私も試してみて効果を得ましたが、極端な反応も多いような気がします。ラーメンの麵残すとか、牛丼のご飯残すとか。極端だからこそニュースになるのだとは思いますが、やりすぎじゃないかなとも感じます。…

旅行に行けない泣 ならば旅エッセイで我慢しよう! 『いつも旅のなか』著:角田光代

コロナ禍のなか、私が住む地域ではロックダウンが続いており、息苦しい日々から抜け出せずにいます。どうにも旅行に行きたい!とばかりに再読しました。 角田氏、小説は読んだことないけど、旅エッセイは面白かったです。 普通の人は選ばないような場所(ネ…

一般サラリーマンにも当てはまる、科学者が負うべき倫理―『科学者とは何か』著:村上陽一郎

とある図書館で処分品として一冊30円程で売っていて購入しました。村上氏は科学史、科学哲学とか、そういう分野を研究されている方で東大とかICUで教えていらっしゃった方。科学論をテーマに現代文の問題で取り上げられることも多いですね。 読みましたがこ…

金融犯罪の裏側と送金の仕組みを教えてくれる良書―『マネーロンダリング入門 国際金融詐欺からテロ資金まで』著:橘玲

マネーロンダリング(以下、マネロン)というとちょっとおどろどろしい雰囲気があります。暴力団やテロ組織の資金洗浄とか、新聞やニュースでもよく目にする言葉です。 金融機関で働いている人でも、自信をもって説明できる人は結構まれだと思います。きっと…

自己認知・コンディショニングの一環としてのマインドフルネス―『世界のエリートがやっている最高の休息法』著:久我谷亮

正直言うと、ビジネス書が苦手です。「最高の」とか「ハーバード流」とか、そういう形容詞がついている、まず避けます。私の第一の反応は「うさんくさい」です。 とはいえ、最近、マインドフルネスとかレジリエンスとかよく聞きます。私はヨガが好きなのです…

万華鏡、あるいは3ウエイバッグ? 要は色んな切り口のある本 『もの食う人びと』著:辺見庸

面白かった。 この作品を良さを言い表すのにふさわしい言葉が見当たらず、3ウエイバックなどという仕様もない書き方をして申し訳ない。要は、切り口によって意味合いが異なる、多元的な読み方ができる本と言いたかったものです。 そもそもは息子の高校受験…

自分に真剣な選択へは素直にリスペクト!ユーモア漂う海外生活ストーリー―『パリで飯を食う。』著:川内有緒

パリで、自分らしい生き方をする。素敵です。 アジアの辺境で細々と暮らしている私ですが、アラフィフになってもまだヨーロッパ暮らしの夢を捨てきれずに、たまにLinked-inで仕事を探したりしてしまいます笑(完全時間の無駄)。 本作は花の都パリを舞台にし…

日本の将来が心配・・・―『アメリカに潰された政治家たち』著:孫崎享

陰謀論チックですが、本当にアメリカって怖い国だと思います。 別にアメリカ人一人ひとりが怖いというわけではありません。寧ろ知人にはいい人が多いし、ダイナミックで素敵な国だと思います。しかし、国家として国益を優先するとき(国家として当然のことな…

こんなにも豊かなアイヌの文化と自然!―『アイヌと神々の物語 炉端で聞いたウウェペケレ』著:萱野茂

昭和の時代に、『まんが日本昔ばなし』という番組がかつてありました。アニメで日本の昔話を描く、素敵な作品でした。 本作『アイヌと神々の物語 炉端で聞いたウウェペケレ』を読んで、そんな30年も40年も昔のアニメ番組を思い出しました。 子ども向けテレビ…

男性こそ読むべき!子育てアンガーマネジメント入門―『子育てのイライラ・怒りにもう振り回されない本 お母さんのためのアンガーマネジメント入門』著:篠真希

イクメンという言葉が大分一般的になった今日この頃ですが、世の男性諸氏、もっと子供にかかわりましょう! 本書を読んでそう思いました。 副題に「お母さんのための」と銘打ってあるのはわかります。それでもなお、筆者がこうした限定的なタイトルをつけた…

英国・フランスの両国民国家の夜明け―『英仏百年戦争』著:佐藤賢一

世界史を学んだ方なら、ノルマンコンクエストの1066年が英国建国年号となっていることを授業で教わったかもしれません。覚えていますか。 その時、一部の方は疑問を持たれませんでしたか? え、だってフランスのノルマンディ公が英国をとったのならある意味…

旅に出たくなる本!―『深夜特急2』著:沢木耕太郎

コロナ禍の中、海外旅行はもとより、国内旅行でさえおぼつかない昨今、本書を読んで勝手に脳内旅行をしていました。ああ、旅行っていいですねえ笑 実は私は氏の作品は初めてですが、ノンフィクション作家として有名で、また深夜特急という旅行ルポは良く耳に…

相手の為を思い、敢えて本音を言う!?なかなか厳しい判断です―『Lying』著:Sam Harris

同調圧力の強い社会、本音が言いづらい組織。 集団にいても疎外感を感じたり、本音でめいいっぱい喋れたらどんなに清々しいかと、時に良く夢想したものです。 しかし本書を読んだ後、ちょっと考えを改めました。 出来るだけ本音を喋るという倫理戦略は意外に…

芯ある経営者が良き会社をつくる―『稲森和夫の実学 経営と会計』著:稲森和夫

自分の会社がどうすればよくなるのか。 考え方が古かったり、前例主義だったり、社員の事を考えない上司が多かったり・・・。おそよ社会人として不承不承でも組織で働いている身であるならば、組織のよろしくない面を目の当たりにし、一度ならずもこうした疑…

前編も本作も、親子ともども読んでほしい!―『Auggie & me three wonder stories』著:R. J. PALACIO

先日読んだ、娘のお下がりの”Wonder”は非常に面白かった。感動しました。涙目になりました笑 lifewithbooks.hateblo.jp 本編はその続編。前作が良かったということで、娘にせがまれて購入したものです。こちらをまたぞろ娘の本棚から失敬して読んだ次第です…

文具好き必読!文房具で想いを彩る、鎌倉歳時記―『ツバキ文具店』著:小川糸

代書屋という職をご存じでしょうか。なんでも人の代わりに手紙を書くのが仕事だという。 本のカバーにあるあらすじを見ながらも、けったいな職業があったものだと斜に構えつつも手に取ったのは、七割くらいは東野圭吾の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』と取り違えてい…

旅行に役立つギリシア神話。変わった切り口で神話を語る―『ギリシア神話 神々と英雄に出会う』著:西村賀子

日本人は実に外国のものをうまく取り入れる民族だと思います。 英語もフランス語もドイツ語も、すべてカタカナにして日本語に取り込むのです。ランチにヴィシソワーズを取って、デザートはバームクーヘンだった、とか。 日常会話にはこうした言葉がじつに自…

どんな子だって親には宝もの!少年の成長物語(英語)―『WONDER』著:R. J. PALACIO

上の子が中学2年の終りころ学校(海外)で課題図書になった本。 当の本人は日本の高校へ進学すると心に決めていたようで無視を決め込み(丁度コロナで自宅学習となりましたが奴はどうやって乗り切ったのだろうか)、代わりに当時小6の妹が読み、絶賛していた…

夢を題材にした、普通に面白いモダンホラー―『夢違』著:恩田陸

あらすじ 作品の舞台では人類は夢の内容を録画することができ、それを専門家が判断したり分析したりできる。その黎明期に登場した古藤結衣子は自身の見る凶兆が夢に現れることを自覚し、夢札を引くことを申し出る。世間の好奇の目に晒されつつこれを苛み、渦…

他人のことを想えるって、素晴らしい―『卵の緒』著:瀬尾まいこ

あらすじ 主人公の育生は小学生。どうやら自分は捨て子らしいと思っている。問うと、祖父母の様子はおかしくなるし、母親もきちんと教えてくれない。父親もいない。そんな母親が恋人の朝ちゃんを連れてくるようになった。朝ちゃんが新たに家族に加わることに…

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