海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

2023-01-01から1年間の記事一覧

気持ちはエジプト・トルコ・イスラエルへ |『キリスト教の“はじまり” 古代教会史入門』吉田隆

今年の勉強テーマであるキリスト教ですが、何とか2冊目が読了。 そもそもキリスト教を勉強したい理由ですが、一つはウンチク垂れたいという(アホ)。というか、文学・歴史、色々なところに伏線というか基礎として伏流してるので、西洋の文学・哲学などのテ…

静かに展開する「何か起きそう」感がイヤミスならでは |『豆の上で眠る』湊かなえ

こんにちは。 週末は義母がお泊りで居所に来ていました。遊びにくるというか、世話する人がいなくなるとスポットでうちが預かるという感じ。 80前で体は弱ってきていますが、別に介護というほどでもありません。 私は言葉が通じないからまあ楽なんでいいんで…

英語力も米国文化も理解が中途半端だと消化不良になるよ |『DILBERT AND THE WAY OF THE WEASEL』SCOTT ADAMS

皆様こんにちは。 今週は仕事が忙しかった・・・。というか、少し仕事の仕方を変えてみました。 同じ業務を8年もやると、「型」が定まります。で、普段その定型枠に沿って仕事をするのですが、たまに「はて、これは本当にいいのかな」「いったいこれはどうな…

こういう女性はめんどい?お尻がむず痒くなる感覚 |『プラナリア』山本文緒

大学で、学科もサークル(軽音楽部)も一緒だった、カサギという奴がいました。 そいつはちょっと変わっていて、いつも全身真っ黒なカラスのような服ばかり着ていました。音楽サークルということでどんな音楽を聴くのかと問うと、そいつの場合は、ジミヘンと…

大枠のキリスト教史を押さえつつ、興味深い逸話をちりばめた佳作 | 『キリスト教入門』山我哲雄

今年は、キリスト教関連の書籍をキチンと読み込もうと思っておりまして、一年の目標としておりました。気づくと既に6月。そしてこれがキリスト教関連としては今年一冊目となります。 しかし、いつも思うのですが、岩波ジュニア新書の「ジュニア」ってのはど…

充実の内容。とくに法律関係がまとまっていて良い |『世界一やさしいフリーランスの教科書一年生』高田ゲンキ

コロナ前後に会社を辞めてしまった家内。 今や、子どもたちも日本へ進学してしまい、どうも暇を持て余している様子。んが、もうおばさんだし、外で働きたくない(!)とおっしゃる。有閑マダムか!? ならばと、何か商売でもしないのか、と焚きつけています…

斬新な設定で読ませる、カカシ殺人事件 |『オードュボンの祈り』伊坂幸太郎

突然ですが、最近書こうという気が減退しています。 ブログとか長くやるとよくあることかと思いますが。 自分のポストを見返すたびに、何かワンパターンだとか、誤字脱字が多いとか、語彙が少ないとか、要は下手過ぎて萎えると笑 とは言え、技巧を凝らしてき…

米国下層労働者階級の終わらない悪夢 | 『ヒルビリー・エレジー』J・D・ヴァンス 訳:関根光宏、山田文

米国というのは実に不思議な国であると思います。 GDP世界一を誇りながら、その実、貧富の差も相当激しい。2021年のOECDのジニ計数ランクでは世界第5位(なお日本は世界11位)。 起業やイノベーションが次々と発生する一方、貧困・暴力・麻薬・離婚などの問…

異時点のストーリ構成が秀逸、ああなるほどと唸ってしまう |『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎

突然ですが、旅行でパースという所に来ています。 金がない金がないとぎゃーぎゃーいう割に、趣味は金がかかる旅行だったりします。で、日本への一時帰国や現在の居所の国内旅行を除くと、実にこれ4年ぶりの国外への旅行です。 4年ですよ。いやはや、コロナ…

私も試したいダウンシフト。実現可能そう |『減速して自由に生きる ダウンシフターズ』髙坂勝

最近よく、人材紹介会社から連絡があるんです(Linked-in経由)。 「海外での業務経験がある方を対象に、日本にご帰国された際にそのご経験をフルに生かして頂いて。。。」 と歯の浮くような言葉でお褒め頂けるという。 永住ビザ申請の結果が出るまでは今の…

ある種、斬新な恋の終わり方? ミステリテイストの恋愛話 |『木漏れ日に泳ぐ魚』恩田陸

同棲というと、私も彼女(今の嫁)と同棲していましたっけ。大学生でした。 でも一緒に暮らすと、まあ嫌なところが目立つもの。同棲解消しましたよ。 彼女は就職、私はわざわざ地方の大学院を受験という形で。彼女は東京の会社へ、私は関西へ進学しました。 …

米国人女性による骨太な中世フランス料理歴史書 | 『味覚の歴史 フランスの食文化-中世から革命まで』バーバラ・ウィートン 訳:辻 美樹

年初に一時帰国した際に実家の本棚から持ち帰った積読本(20年弱!)です。 私事ですが、家内は結婚後退職し、どういうわけか調理師学校に通いだしました。おかげで私は専業主婦兼調理師というとっても贅沢な奥様と時を過ごせているのですが、そうした結婚前…

悲しいファミリ―ヒストリー、でも未来は暗いだけではない |『さくら』西加奈子

こんにちは。 最近、私の居所も暑い日が続いております。日本も暑いそうですね。 東南アジアというとスコールというイメージ、ありませんか? こちらでも毎日、ザッパーっって感じのスコールが降ります。小一時間くらい。 でもここ数日はスコールの来ない日…

まずはサラリーマンから脱すること? |『年収一億円になる人は、「これ」しからやらない』上岡正明

ビジネス書。 色々文句を言うなら読まなきゃいいのに、っていうのがハウツー系ですよね。でも、どうです?一億ですよ、一億! 宝くじではなくて毎年一億円。しかもアラフィフになってまだ読んでんの?みたいな話ですが、やっぱお金、ほしいです(少なくとも…

復讐の横取りは、予期せぬ結末へ。満足度の高い、流石の伊坂作品|『グラスホッパー』伊坂幸太郎

読書でストレス解消をしてみた、という話です。 まあ家でも、仕事場でも、ストレス、あるじゃないですか。人に言えない悩みとかもありますよね。言ってもわかってもらえないことはもっとあるし(うんうん)。 これまで色々解消法に変遷がありましたが、読書…

米国の白人貧困層はどこへ流れつくのか | 『ノマド』ジェシカ・ブルーダー 訳:鈴木素子

今年は、セカンドライフをテーマに、老後の生活設計の参考になるような本を選んで読んでいます。 その一環で見つけた本作、名前はモダンで自由な感じでしたが、読後はしこたま暗くなるものでした。反面教師とまでは言いませんが、こうなったら自分はキツイな…

共働き夫婦の子育ての格闘からの、うるうる感動のフィナーレ |『THE ROSiE RESULT』GRAEME SiMSiON

今更ですが、気付きました。 「最近俺、英語の本、全然読んでない! 今年になって5か月目でわずか二冊!」 昨年は結構調子よく読んでいたんですよね。ひと月に一冊ペースくらいで。 今年は年初から日本に帰っていて、どうしても日本語の読書に引っ張られた気…

リベラルアーツは新たな実学か?ただし条件付? |『自由になるための技術 リベラルアーツ』山口周

連休ですね。私の居所も、ラマダンが終わり、何のかのと祝日が続いておりましたが、そろそろ来週から通常営業になる模様です。 って気づいたらもう今年も4か月終了しているって、皆さんご存じでした?一年の1/3ですよ! 年初に立てた目標を見返し、ため息を…

エンタメでもあるけど、深堀りもできる良作|『きりこについて』西加奈子

ポリティカル・コレクトネスかまびすしい昨今です。 「ぶす」という言葉。口ずさむのも憚られることがあろうかと思います。即、「炎上」しかねないNGワード。テレビやラジオなどのマスメディアをはじめ、SNSなど不特定多数の視聴者・読者に届いてしまう場で…

財務分析、業績予想、個人のキャッシュフロー表を作る方にはおすすめ |『外資系金融のExcel作成術』慎泰俊

年金の少ない貧しかろう老後を見据えて、会社という看板に頼らない生業(なりわい)を探す・探る、というのが今年のテーマです。まあ副業ですが。 今年も四か月が過ぎようとしていますが、その間、オンライン塾講師の登録をしたり(紹介制なのですが、まった…

とにかく明るいニーチェ|『ニーチェの言葉 エッセンシャル版』フリードリヒ・ニーチェ、訳:白鳥春彦

俺に哲学なんて分かるんかいな? 哲学というと実に難解なイメージがあります。 小難しい言葉遣いで滔々と私たちをまくしたて、なんなら分からないこちらが悪者であるとのたまう、そんな謎な高圧的キャラを想像してしまう程。 その晦渋さにあって、ニーチェ、…

栄利子の壊れっぷりに震える|『ナイルパーチの女子会』柚木麻子

私、聞かれれば確かに、「読書が趣味です」と答えます。ですが、この10年ほどの読書はどちらかというと現世利益的。私の人生に起こった問題や疑問を解決するべく、手助けとなってくれる本を探して読んでいる感じです。 それでも、本を読んでいて、その繋がり…

子宮頸がんワクチン騒動を俯瞰する良書 |『10万個の子宮』村中璃子

父:「高校生になったら一番したいことは?」 娘:「素敵な彼ピッピを作って高校生活をエンジョイすること!」 父:「・・・じゃあ、お前、あれだ。セーフセックスに備えて、子宮頸がんワクチンだな」 という、しょうもない会話をきっかけに、娘にはこの4月…

鼻くその話に確かにと頷きました|『すっぴんは事件か?』姫野カオルコ

この本は自分のwish listの中に入っていて、そのインパクトある表紙が記憶にあり、ブックオフで廉価で見かけたときにすかさず買ったものです。 ただ、どういうわけでwish listに入れたのか覚えていない。本作の前後にリストにあったのは椎名誠さんの『わしら…

胸に重いものが残る「底辺女性史」秀作 | 『サンダカン八番娼館』山崎朋子

3カ月にわたる一時帰国を終え、とうとう居所にもどってきました。 娘は何とか行きたい高校に進学できたものの、高3になるのに大学受験に本気が出ない息子、体の衰えも顕著で半分ボケてきた父、気になっていた確定申告を8年もそのまま放置していた母、と家庭…

その明るさがロシア文学っぽくない!?|『イワン・デニーソヴィチの一日』ソルジェニーツィン 訳:木村浩

ほんの4カ月前に購入した本ですが、どうして買ったのか忘れてしまいました。 実際は『収容所群島』が読みたかったものの、手ごろな価格のものがなかったため、本作『イワン・デニーソヴィチの一日』を購入したことは覚えているんです。でも何に触発されたの…

長崎の傑物、女商人大浦慶を骨太に描く | 『グッドバイ』朝井まかて

いつの間にか4月ですね。 一昨日、下の子の高校の入学式に参加してきました。ここから7年間の学費のピークに対し、馬車馬のごとく歯を食いしばって金を稼がねば、と決意を新たにしました。 当初子どもたちは公立高校に入ってもらう予定でしたが、両親が海外…

予防的配慮に富んだ脳梗塞本 |『読みやすい、わかりやすい 脳梗塞 35の重要ポイント』森本将史

ごめん、今回も飛ばしてください 先日もまた軽い発作?がありまして。 夕方のジョギングから帰ってきたのですが、どうも体がだるい。一旦トイレに座り込むと明らかに右手の力の入り具合がおかしい。若干酔ったときのような感覚の鈍り。ただし歩けないわけで…

幕末長崎のおんなたちの儚い一生を色鮮やかに描く人間ドラマ |『ふぉん・しいほるとの娘』吉村昭

「シーボルトの娘は日本で初めて女性で医者となった人物」 遠い過去、高校の日本史でシーボルトなる人物を習ったことは覚えています。でもそれがどういう経緯で日本に関わったのかはすっかり忘れておりました。 また、どこで読んだか忘れましたが、とある記…

紋切り型若者論を鮮やかに喝破、現代の若者の気分をロジカルに抽出 |『絶望の国の幸福な若者たち』古市憲寿

こちらも、私の母親のスーパー積ん読文庫(処分済み)から救出された一冊です。 この前『戦争が遺したもの』という日本論・戦後論の本もこの処分本から救出しましたが、母はこういうの好きだったのかな?っとふと疑問に思いました。その割に、背に付いている…

海外オヤジの読書ノート - にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村