海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

2023-01-01から1年間の記事一覧

共働き夫婦の子育ての格闘からの、うるうる感動のフィナーレ |『THE ROSiE RESULT』GRAEME SiMSiON

今更ですが、気付きました。 「最近俺、英語の本、全然読んでない! 今年になって5か月目でわずか二冊!」 昨年は結構調子よく読んでいたんですよね。ひと月に一冊ペースくらいで。 今年は年初から日本に帰っていて、どうしても日本語の読書に引っ張られた気…

リベラルアーツは新たな実学か?ただし条件付? |『自由になるための技術 リベラルアーツ』山口周

連休ですね。私の居所も、ラマダンが終わり、何のかのと祝日が続いておりましたが、そろそろ来週から通常営業になる模様です。 って気づいたらもう今年も4か月終了しているって、皆さんご存じでした?一年の1/3ですよ! 年初に立てた目標を見返し、ため息を…

エンタメでもあるけど、深堀りもできる良作|『きりこについて』西加奈子

ポリティカル・コレクトネスかまびすしい昨今です。 「ぶす」という言葉。口ずさむのも憚られることがあろうかと思います。即、「炎上」しかねないNGワード。テレビやラジオなどのマスメディアをはじめ、SNSなど不特定多数の視聴者・読者に届いてしまう場で…

財務分析、業績予想、個人のキャッシュフロー表を作る方にはおすすめ |『外資系金融のExcel作成術』慎泰俊

年金の少ない貧しかろう老後を見据えて、会社という看板に頼らない生業(なりわい)を探す・探る、というのが今年のテーマです。まあ副業ですが。 今年も四か月が過ぎようとしていますが、その間、オンライン塾講師の登録をしたり(紹介制なのですが、まった…

とにかく明るいニーチェ|『ニーチェの言葉 エッセンシャル版』フリードリヒ・ニーチェ、訳:白鳥春彦

俺に哲学なんて分かるんかいな? 哲学というと実に難解なイメージがあります。 小難しい言葉遣いで滔々と私たちをまくしたて、なんなら分からないこちらが悪者であるとのたまう、そんな謎な高圧的キャラを想像してしまう程。 その晦渋さにあって、ニーチェ、…

栄利子の壊れっぷりに震える|『ナイルパーチの女子会』柚木麻子

私、聞かれれば確かに、「読書が趣味です」と答えます。ですが、この10年ほどの読書はどちらかというと現世利益的。私の人生に起こった問題や疑問を解決するべく、手助けとなってくれる本を探して読んでいる感じです。 それでも、本を読んでいて、その繋がり…

子宮頸がんワクチン騒動を俯瞰する良書 |『10万個の子宮』村中璃子

父:「高校生になったら一番したいことは?」 娘:「素敵な彼ピッピを作って高校生活をエンジョイすること!」 父:「・・・じゃあ、お前、あれだ。セーフセックスに備えて、子宮頸がんワクチンだな」 という、しょうもない会話をきっかけに、娘にはこの4月…

鼻くその話に確かにと頷きました|『すっぴんは事件か?』姫野カオルコ

この本は自分のwish listの中に入っていて、そのインパクトある表紙が記憶にあり、ブックオフで廉価で見かけたときにすかさず買ったものです。 ただ、どういうわけでwish listに入れたのか覚えていない。本作の前後にリストにあったのは椎名誠さんの『わしら…

胸に重いものが残る「底辺女性史」秀作 | 『サンダカン八番娼館』山崎朋子

3カ月にわたる一時帰国を終え、とうとう居所にもどってきました。 娘は何とか行きたい高校に進学できたものの、高3になるのに大学受験に本気が出ない息子、体の衰えも顕著で半分ボケてきた父、気になっていた確定申告を8年もそのまま放置していた母、と家庭…

その明るさがロシア文学っぽくない!?|『イワン・デニーソヴィチの一日』ソルジェニーツィン 訳:木村浩

ほんの4カ月前に購入した本ですが、どうして買ったのか忘れてしまいました。 実際は『収容所群島』が読みたかったものの、手ごろな価格のものがなかったため、本作『イワン・デニーソヴィチの一日』を購入したことは覚えているんです。でも何に触発されたの…

長崎の傑物、女商人大浦慶を骨太に描く | 『グッドバイ』朝井まかて

いつの間にか4月ですね。 一昨日、下の子の高校の入学式に参加してきました。ここから7年間の学費のピークに対し、馬車馬のごとく歯を食いしばって金を稼がねば、と決意を新たにしました。 当初子どもたちは公立高校に入ってもらう予定でしたが、両親が海外…

予防的配慮に富んだ脳梗塞本 |『読みやすい、わかりやすい 脳梗塞 35の重要ポイント』森本将史

ごめん、今回も飛ばしてください 先日もまた軽い発作?がありまして。 夕方のジョギングから帰ってきたのですが、どうも体がだるい。一旦トイレに座り込むと明らかに右手の力の入り具合がおかしい。若干酔ったときのような感覚の鈍り。ただし歩けないわけで…

幕末長崎のおんなたちの儚い一生を色鮮やかに描く人間ドラマ |『ふぉん・しいほるとの娘』吉村昭

「シーボルトの娘は日本で初めて女性で医者となった人物」 遠い過去、高校の日本史でシーボルトなる人物を習ったことは覚えています。でもそれがどういう経緯で日本に関わったのかはすっかり忘れておりました。 また、どこで読んだか忘れましたが、とある記…

紋切り型若者論を鮮やかに喝破、現代の若者の気分をロジカルに抽出 |『絶望の国の幸福な若者たち』古市憲寿

こちらも、私の母親のスーパー積ん読文庫(処分済み)から救出された一冊です。 この前『戦争が遺したもの』という日本論・戦後論の本もこの処分本から救出しましたが、母はこういうの好きだったのかな?っとふと疑問に思いました。その割に、背に付いている…

文体からにじむユーモアと鋭さ|『やがて哀しき外国語』村上春樹

長崎に旅行で来ています。残念ながら雨模様の天気なのですが、それでもやはり日本はいいですね。海外とは比べ物にならないサービスの良いLCC、田舎に行っても便利で正確な公共交通機関、芯から温まる温泉、そして何より多彩なローカルの食べ物! 来週も仕事…

長崎のカステラから垣間見るぶっとび父ちゃんの歴史|『かすてぃら』さだまさし

私事で恐縮ですが、来週長崎に家族で旅行に行こうと考えています。 一家の人柱を自認している私は、各種予約、旅程表作成も自分の仕事と理解しております。そして最後の仕事は、旅行先が舞台になっている小説をチョイスand読むということ。 うーむ。長崎が舞…

自分の「好き・得意」を中心に自己分析。ただ、社会の変化は速いぞ |『ライフピボット』黒田悠介

日本では今週に入りぐっと暖かくなってきましたね。近所の川べりの桜の数本は慌てて少し咲き始めました。 海外に居所をもってはや9年目ですが、ことしはそれ以来のお花見が出来そうです。 会社に縛られる時代の終焉。じゃあなにする? 起業や副業・複業。 こ…

世の価値観の変遷に思うアクティビストの役割|『動物の権利』編:ピーター・シンガー、訳:戸田清

この前、高2の息子がオンラインでクラスメートとディスカッションをしていました。お題は『動物園は廃止するべきか?』 そしてマイク越しにムスコが喋った言葉に耳を疑いました。 『いや、ピーター・シンガーの議論もさあ、slkdurfap〇▽&^%#@$E』 むむ…

面白い!私家版「世にも奇妙な物語」|『世にも奇妙な君物語』朝井リョウ

最近、こっそりはまっている朝井リョウ氏の作品。 エッセイはかなり面白いと感じており、ノンフィクションはどうかと、先日「どうしても生きてる」を読んでみました。まあ、それは普通かなーという感じでした。 懲りずに読んだのがこちらの作品。読後に娘に…

穏健で好印象、効きそう。いい人過ぎてインパクトは弱め |『医師がすすめる少食ライフ』石黒成治

これまで色々な健康系の本を読んできました。 痩せていたいとかスタイルを保つという目的がゼロではなかったのですが、基本はコンディショニングが目的です。サラリーマンたるもの、元気に出社して始業とともにフルスロットルが踏めてなんぼだという信念があ…

ちょっぴりドジな世之介が紡ぐ青春小説|『横道世之介』吉田修一

今回は一月半ばから、かなり長めに一時帰国していますが、つくづく日本の季節の移り変わりの美しさは素晴らしいと感じます。2月の初めは蕾だった川沿いの梅は今や満開。白やピンクに咲き誇り、はらはらと花びらを風に散らします。あぁ、何と可憐で、儚く、美…

内容に目新しさはないも、経験者ゆえの言葉の重みあり |『50代から実る人、枯れる人』松尾一也

みなさんね、まあーこんな本、手に取らないと思うんですよ。 50代?いやあ、おっさんだし。遠い将来のことだし。って、そう思うでしょ? あっという間にやってきまから!!! ・・・ここから先の将来の仕事・お金に不安なアラフィフの私。何とか先人の知恵を…

突き抜けて人の良い肉子ちゃんに思う|『漁港の肉子ちゃん』西加奈子

本作は私にとって再読でありました。 きっかけは近くの市民ホールでやっていた映画の再上映です(因みに700円!)。 映画があるのは知っていましたが、見たことはありませんでした。ならば見た後に再読しようと思い、手に取りました。 ひとこと そうですね。…

アホなノリが病みつきに!|『風と共にゆとりぬ』朝井リョウ

朝井氏のエッセイは2作品目です。昨年、「時をかけるゆとり」で、その真摯なアホさ加減に驚愕しました。 中学生の娘(日本語いまいちな子)が「電車で吹いちゃう」との感想を漏らしたことから、我が家での氏への評価がうなぎのぼりとなり、本作の購入に至り…

フリーランスさんの、ほのぼのエッセイ |『フリーランスの生活をぶっちゃけてみました。』大塚さやか

この手の本を手に取るときは、エッセイなのか、はたまたハウツー系なのか、ちょっと思案します。私が求めるのはハウツー系。会社に依存しない生き方が展開できないかと検討しているからです。 フリーランスのぶっちゃけ話 で、本作はどっちかというと、エッ…

英国移民の厳しい現実をえぐる。引き込まれる佳作 |『The Year of the Runaways』Sunjeev Sahota

ランキング参加中読書 ランキング参加中書評 日本では外国人労働者の受け入れには否定的、労働力だよりの移民には断固反対。こんなニュースをしばしば耳にしてきました。 ところが、コロナ後に何度か一時帰国すると、ワクチン接種を確認するファストトラック…

青春ストーリーとして読みました|『AKIRA』大友克洋

ランキング参加中書評 やっと下の子の高校受験が終わりました。となると、上の子同様、下の子も彼らの祖父母宅(私の実家)から学校へ通うことになります。 実家を出てから、実家を倉庫代わりに使っていたことが多くあったことを今更ながらに反省しておりま…

短編でも、随所に光る谷崎的エートス|『美食倶楽部 谷崎潤一郎 大正作品集』谷崎潤一郎 編:種村季弘

本作も、我が母親のスーパー積ん読文庫処分品から救出された一作。 母親に聞いたところ、生協(食品とかの宅配の)に本のカタログがあり、そこで気になる本を買うそうな。 谷崎潤一郎のイメージというと、耽美、エログロナンセンスあたりが思い浮かびます。 …

絵入りで、文字が大きくて見やすい |『退院後の生活を支える本 脳梗塞の再発を防ぐ』監修:岡田靖

もうこれ、完全に私のためだけの読書で、皆さまの参考になる気がしません・・・。 普通にスルーしてくださればと思います笑。 軽度の脳梗塞の経験者です。 私は幸い、麻痺も残らず、入院もせずに済みました。しかし、一時でも麻痺・呂律が回らなくなる経験を…

コロナを経て現実味が増すノマド的生き方 |『ノマドライフ』本田直之

お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、最近、(今いるところとは違う)海外で、雇われないで生きていけないかと思案しています。 オンラインで仕事をするとか、はたまた地域密着とか、色々な方法や可能性を考えている最中です。数年がかりの検討にはなると…

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