海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年はセカンドライフとキリスト教について考えたく!

2020-01-01から1年間の記事一覧

法の限界をえぐりだす金融小説!読み物としてはやや冗長か!?―『永遠の旅行者』著:橘玲

本の概要 前作「マネーロンダリング」に続き、今回もお金や法律の抜け穴を駆使する主人公(元弁護士:恭一)が、心を病む美少女(まゆ)を救うというパタン。今回のテーマは、いかにして税金を納めないで生きるかというもの。そんな、税金を納めないで国を転…

議論がややナイーブか。あるべき未来像はなかなか見えてこない―『資本主義はなぜ自壊したのか』著:中谷巌

資本主義はなぜ自壊したのか 「日本」再生への提言 (集英社文庫) 作者:中谷 巌 発売日: 2011/01/20 メディア: 文庫 本の概要 世界で進むグローバル資本主義・新自由主義への流れに対し警鐘を鳴らし、その原因や背景について分析。また、今後の日本の在り方に…

心を鍛えながら判断方法を学ぶ―『自分への答えのつくり方』著:渡辺健介

本の概要 米イェール大、ハーバード大卒業の渡辺氏による、価値判断・ロジカルシンキング法の解説書。子どもが読むことを前提に物語形式で語られれており、主人公は赤魚のピンキー。単なるMBA的知識にとどまらない、”つっこみ”や”仕掛け”の技術、そして”共感…

大人の入り口を描く、やや酸味のあるユーモラスな作品―『カラフル』著:森絵都

本の概要 自殺した少年の体の中へホームステイし、人生の再挑戦のチャンスを得たぼくが、人の欠点や優しさを見ながら成長していく。ぼくがみた世界は必ずしも綺麗ではなかったけれど、優しさもあったし、僕を見てくれる友達もいた。筆者の森絵都さんは直木賞…

新自由主義経済に食い荒らされたアメリカの現実―『ルポ 貧困大国アメリカ』著:堤未果

本の概要 米国の貧富の差にフォーカスを当てたルポルタージュ作品。学校給食と肥満、学校や病院の民営化と無保険者の増加、貧困層を狙う軍のリクルーティング等、貧困が選択肢を大幅に狭めている米国の様子が描かれています。 生の声を伝える この作品が力強…

偶然性のススメ~不自由のなかで見つける非予定調和―『弱いつながり 検索ワードを探す旅』著:東浩紀

本の概要 日本の現代思想のトップランナー(と私が勝手に思っている)東氏の作品。 インターネットによって世界はより近くより便利になった反面、世界はより固定化されてしまった(リコメンド機能やサジェスト検索)。そのような閉塞感に対し、旅という”未知…

真面目です!大便から考えるコンディショニング―『大便通』著:辨野義己

本の概要 理化学研究所所属の辨野氏による便と大腸についての入門書。便に関する知識、自らのうんこ相手の研究談、そしてオヤジギャグを取り混ぜ、腸の仕組み・腸にまつわる病気の原因と対策・腸内細菌研究とテイラーメイド医療への可能性等について幅広く論…

読後に思う、一人で歩んでいくことの孤独―『夢をかなえるゾウ3』著:水野敬也

本の概要 ブラックガネーシャを師匠に、20代後半OLが成功を目指して人生を変える!でも本当に変わるのは、その人の人生というよりも、その人自身の心持ち。 累計280万部超のベストセラー自己啓発系エンターテイメント小説の第3弾!女性主人公にブラックガネ…

懐古主義・あるいは温故知新の昭和時代有名作家オムニバス集―『短編伝説 めぐりあい』著:集英社文庫編集部

短編伝説 めぐりあい (集英社文庫) 作者:大沢 在昌,五木 寛之,山本 文緒,川上 健一,宮部 みゆき,志水 辰夫,半村 良,三島 由紀夫,連城 三紀彦,森 瑤子,清水 義範,佐藤 正午,赤川 次郎 発売日: 2017/08/22 メディア: 文庫 本の概要 昭和時代の超売れっ子作家た…

教科書にはゼッタイ載らない経済知識―『マネーロンダリング』著:橘玲

マネーロンダリング (幻冬舎文庫) 作者:橘 玲 発売日: 2003/04/15 メディア: 文庫 本の概要 香港と日本を舞台にした金融経済小説。法律の限界やルール・抜け道を熟知した“秋生”が、かつて手を貸した謎の美女の麗子を追う。ヤクザと女と金と法律が入り乱れる…

世界史で教える栄枯盛衰の法則。米国もそうなるのか!?―『「覇権」で読み解けば世界史がわかる』著:神野正史

「覇権」で読み解けば世界史がわかる 作者:神野正史 発売日: 2016/09/02 メディア: 単行本(ソフトカバー) 本の概要 覇権の隆盛と衰退のパターンを世界史を通じて読み解く本。ローマ帝国、中華帝国、イスラーム帝国、大英帝国、アメリカ合衆国の各史をそれ…

脳は鍛えられる!(内容は総花的)―『脳を最適化するブレインフィットネス完全ガイド』著:アルバロ・フェルナンデス+エルコノン・ゴールドバーグ+パスカル・マイケロン

脳を最適化する ブレインフィットネス完全ガイド 作者:アルバロ・フェルナンデス,エルコノン・ゴールドバーグ,パスカル・マイケロン 発売日: 2015/10/22 メディア: 単行本(ソフトカバー) 本の概要 米国の脳科学リサーチ会社関係者とニューヨーク大学の脳医…

自己啓発本ではなく、エンターテイメント小説として-『夢をかなえるゾウ』著:水野敬也

夢をかなえるゾウ 作者:水野敬也 発売日: 2013/04/23 メディア: Kindle版 今から10年ちょっと前、猛烈に流行った本。 今読み返してみても実際に面白い。 ご存じの通りあらすじは、ヒンドゥー教の神ガネーシャがある日突然、イケてない「僕」の前に現れ、成功…

たまたま私にはマッチしませんでした泣ー『レイクサイド』著:東野圭吾

レイクサイド (文春文庫) 作者:東野 圭吾 発売日: 2006/02/10 メディア: 文庫 皆さんにとって小説とは? 皆さんはどのようなときに小説を読まれるのでしょうか。 出張などの移動中に息抜きにという方、小難しい本が好きでその合間に抜き程度にという方、はた…

衝撃的な、欺瞞に満ちた米国の歴史―『オリバー・ストーンの「アメリカ史」講義』著:オリバー・ストーン&ピーター・カズニック

〔ダイジェスト版〕オリバー・ストーンの「アメリカ史」講義 (早川書房) 作者:オリバー ストーン,ピーター カズニック 発売日: 2016/07/31 メディア: Kindle版 本の概要 ドロッドロの米国史を第25代大統領マッキンリー(1897-1901)~第44代大統領オバマ(20…

嗜好は崩しがたいが一読の価値あり-『なぜ「牛乳」は体に悪いのか』著:フランク・オスキー

なぜ「牛乳」は体に悪いのか ―医学界の権威が明かす、牛乳の健康被害 (プレミア健康選書) 作者:フランク・オスキー 発売日: 2010/08/06 メディア: 単行本 一牛乳信者です。読後は、やはりそうなのかなあという複雑な心境です。憧れていた人にダークな裏があ…

個人的にあまり好まない書き方(ごめんなさい)-『2022-これから10年、活躍できる人の条件』著:神田昌典

2022――これから10年、活躍できる人の条件 (PHPビジネス新書) 作者:神田 昌典 発売日: 2012/01/18 メディア: 新書 私は彼が苦手である マインドマップは好きですが、著者のいわゆる成金的雰囲気があまり好きではなくビジネス系の本は目を通したことがありませ…

生きている人は、みんな、自分の力で歩いて行かないといけない-『星のかけら』著:重松清

星のかけら (新潮文庫) 作者:重松 清 発売日: 2013/06/26 メディア: 文庫 ストレートに書くとちょっとダサいけど、本作のテーマは、まっすぐに素直に生きることの大切さ、だと思う。 もちろんまっすぐに生きるなんて、言うほど簡単ではない。同調圧力が強か…

二度読みして味わいたいエンタテイメント-『花の鎖』著:湊かなえ

花の鎖 (文春文庫) 作者:湊 かなえ 発売日: 2013/09/03 メディア: 文庫 自分は割と、はまると一つの分野や一人の作家に入れあげる方かもしれない。 湊氏の作品を最近好んで読んでいる。きっかけはYahoo!の記事で同氏がこれだけヒットを飛ばすのに絶妙に直木…

実は「生き方」を問う本-『医学不要論』著:内海聡

医学不要論 (廣済堂新書) 作者:内海 聡 発売日: 2018/03/28 メディア: 新書 医療がビジネス化し、人を治療するよりも寧ろ人に病気を与えている。投薬もワクチンも、輸血も、手術も、実は大きな利権と絡んでおりしかも効果は大きくない。身の回りの製品や生活…

背景を考慮すれば得るものはある-『漫画 君たちはどう生きるか』著:吉野源三郎

漫画 君たちはどう生きるか 作者:吉野源三郎 発売日: 2017/08/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) 娘が祖母から送られた本を積ん読していたので、失敬して読んでみました。 個人的には面白く読めました。 実はこのレビューを書く前にAmazonの評価を見てみ…

社会学者が語るキリスト教とその社会への影響。思想系に興味のある方は必読!-『ふしぎなキリスト教』著:橋爪大三郎×大澤真幸

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書) 作者:橋爪 大三郎,大澤 真幸 発売日: 2011/05/18 メディア: 新書 しばしばキリスト教は西洋文化の起源の一つだから勉強した方がいいという。現状のすべてをキリスト教一つに還元はできないと思うが、確かに今ある多くの…

ホテルではお客様の仮面を剥がしてはならない-『マスカレード・ホテル』著:東野圭吾

マスカレード・ホテル (集英社文庫) 作者:東野 圭吾 発売日: 2014/07/18 メディア: 文庫 ホテルには数多くの人、多種多様な人たちが投宿する。そしてこれをマスカレード(仮面舞踏会)に例えた本書の舞台は、言うまでもなくホテル。 連続殺人事件の次なる舞…

上級者向き(英米向き・非アジア向き)或いは日英文化論として-『「とりあえず」は英語でなんと言う?』 著:ルーク・タニクリフ

「とりあえず」は英語でなんと言う? (だいわ文庫 E 334-1) 作者:ルーク・タニクリフ 発売日: 2016/10/08 メディア: 文庫 ポップな装丁とキャッチ-な題名に惹かれて購入しました。 うーん。残念ながら、題名のキャッチ-さに反し、実用的に使うのはちょっと…

アンガーマネジメントとは自己とのコミュニケーション-『アンガーマネジメント入門』著:安藤俊介

アンガーマネジメント入門 (朝日文庫) 作者:安藤俊介 発売日: 2016/09/07 メディア: 文庫 米国のトランプ大統領とのやり取りで時の人となった環境活動家グレタ・トゥーンベリ氏も言及したアンガーマネジメント。その技術についての入門本です。 私は日頃そこ…

よくある内容も、ゆるーく読める本-『思考の整理学』著:外山滋比古

思考の整理学 (ちくま文庫) 作者:外山 滋比古 発売日: 1986/04/24 メディア: 文庫 メンターが私に勧めてくれたので読んでみました。 ぎすぎすした世の中にあって、ある意味、癒しの自己啓発書。エッセーに近いかな。 筆者は英文学・言語学の専門家でお茶の水…

設定の妙と人間観察の面白さを味わう-『マスカレード・イブ』著:東野圭吾

マスカレード・イブ (集英社文庫) 作者:東野 圭吾 発売日: 2014/08/21 メディア: 文庫 ドラマの面白さとは何か。 マンネリの中に光る予定調和と安心感。水戸黄門の昔から始まり、ドクターXの大門未知子、半沢直樹もそうであろう。どんなに難しい展開でも、最…

儚いなと感じたスパイの自伝-『理想はいつだって煌めいて、敗北はどこか懐かしい』著:史明 構成:田中淳

100歳の台湾人革命家・史明 自伝 理想はいつだって煌めいて、敗北はどこか懐かしい 作者:史明,田中 淳 発売日: 2018/12/17 メディア: 単行本(ソフトカバー) 2019年の夏過ぎにYahoo!ニュースで紹介されており気になって購入、しばらく積ん読していました。…

むしろ若手が反面教師的に読むと良い-『40歳からの仕事術』著:山本真司

40歳からの仕事術 (新潮新書) 作者:山本 真司 発売日: 2004/03/01 メディア: 新書 題名からして30代後半から40代の方が手に取って読まれると思います。 はい、私、40代半ばのおっさんです。 ドンピシャ世代。端的な感想は、いまいちです(厳し目で済みません…

ダイエット本としては威力高い。コンディショニング本としてはやや疑問-『空腹をチャンスに変えるナグモ式食べ方革命』著:南雲吉則

「空腹」をチャンスに変える! 南雲式食べ方革命 (1日1快食で20歳若返る!) 作者:南雲 吉則 発売日: 2012/09/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) この本はダイエット本としては威力は相当高いというのが実感です。痩せます。 しかしながら、社会人が体調管理…

海外オヤジの読書ノート - にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村